諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界
水やりは根っこに
あれは私がとても幼い頃のことでした。
小さなジョウロを使って見よう見まねで鉢植えの植物に水やりをしていると、側で見ていた父がにっこり微笑んで言いました。
「水は葉っぱではなく土にかけるんだよ。」と。
当時の私は、土の下にある根っこには思いが至らず、ポカンとしておりました。記憶が定かではありませんが、恐らく、その後、父は根っこのことを教えてくれたのでしょう。
さて、なぜ唐突にこのようなエピソードからお話を始めたかといいますと、今回は「目に見える世界と目に見えない世界の関係」について書いてみたいと思っているからです。
仏教では、私たちが目にしている現象世界は仮初の世界であり、その基盤には肉眼では見えない真実の実在(=実相世界)があると説きます。
土の下にあって見えない根っこの働きがあって花や葉が存在しているように、人間を含めたこの世の一切の事象は、肉眼では捉えることのできない実相世界の働きにより仮初に存在しているというのです。
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