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窓のないオフィス

 自分の30代は、ずっと窓のないオフィスで仕事をしていた。
 蛍光灯だけの部屋。外が晴れているのか雨が降っているのか分からない。昼か夜かも分からない。時々、屋上に出ては、遠くに見える富士山を眺めていた。
 いつか、窓のある場所で仕事をしたい。ずっと思いながら30代の10年間、仕事をしていた。
 40代の自分。何を血迷ったか会社を辞めてフリーランスになった。
 フリーランスになり、2年が経とうとしている。日々、仕事に追われているが、まだまだ軌道に乗ったとは言い難い。
 貯金も減った。
 会社員であった3年ほど前、日帰りで北海道へ行った。約2万円の高級寿司を食べて帰るという随分と贅沢なことをした。
 今の自分は例え時間があっても、そのような無駄遣いはとてもできない。
 止む無く、500円玉貯金箱を壊したり、定期預金を解約したり、気持ちが凹むようなこともあるが、生きている。
 会社を辞めても生きられるんだなと実感できたのは、正直大きい。
 経済的には不安を感じるけれど、日々チャレンジしている気持ちを味わえるのは楽しい。
 30代の頃に願っていた「窓のある場所で仕事をする」
 その思いも叶えられた。

 写真のコワーキングスペース。ここからの眺めが好きで、時々訪れる。
東京駅からほど近い丸の内にあり、気分転換に皇居ランもできる。
 持参したノートパソコンで作業をしながら、窓の景色を眺めて思索にふける。そんな時間が好きだったりする。
 世間的にもフリーランス人口が増えているという。アメリカでは2020年までに、労働人口の50%がフリーランスになると言う。日本でもその流れはきているのだろう。都心ではコワーキングスペースが急速に増えている。高額なオフィス賃貸料を払わずとも、好きな場所で仕事をできる時代が到来している。
 自分のやりたい仕事で思いきりチャレンジできる。
 それができるのは、窓のないオフィスで10年間ひたすら仕事をしてきた30代の自分のお陰だろう。
 30代の自分に感謝。そして、40代の自分も何とか仕事を軌道に乗せて、50代の自分へと良いバトンタッチをしたい。
 一日一日が大事だ。
 そう思い、今日もがんばる。

【写真展のご案内】
この度、写真展を行います。どなたでもご自由にご覧いただけますので、ぜひお越しください。
「光のより道」
~明日への景色が輝き出す、小西隆博の心安らぐ写真展~
○会期:2019年3月12日(火)~17日(日) 12:00-19:00(最終日16:00 まで)
○会場:Roonee 247 fine arts 
http://www.roonee.jp/exhibition/room1/20190224094512

はじめまして。写真と映像制作をしているフリーランスの小西と申します。文章作品にも力を入れています。作品はご自由にお読みいただけますが、応援したいというお志も大歓迎です。