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中小企業こそ、情報活用のスパイラルアップを実現する仕組みを

企業経営には情報が不可欠である。
 経営資源として、ひと、もの、かね、情報と言われて久しいが、情報の重要性は高まるばかりである。言うまでもなく、経営環境の変化として世の中を見渡してみると、情報が溢れている。情報の洪水という表現も、特に目新しくはないが、世間ではDXが声高に叫ばれ、デジタル社会まっしぐらである。デジタル社会とは何かを簡単に説明するのは骨が折れるが、今回のテーマに沿って書くならば、デジタル化された情報を、今まで以上に容易に入手することができ、活用することができる社会だと捉えることができるだろう。大企業は言うまでもなく、中小企業においても、これらの情報を的確に有効に活用できれば、経営活動の大きな武器になるのは明白である。
 また、どんな企業にも従来から、経営情報というものは存在している。代表的なものが顧客情報、ライバル企業の情報、人事情報などである。他にも沢山あるが、経営者ならば、経営情報の重要性は、おそらく認識している事だろう。ところが、最近のデジタル社会の進展によって、そもそもこの自社に存在する経営情報そのものを再度見直す必要に迫られている。疑ってかかると言えば大袈裟に聞こえるかもしれないが、それぐらいの覚悟で情報を棚卸し、情報活用戦略とそれを実現するための仕組みを明確にするべきなのである。

今、世間では生成AIが流行っている。
 どんな企業でも社長自らであったり社員であったり、誰でも調べものをする。自社に役立ち、かつ常に把握しておかないといけない情報を得るためである。このあたりは、あっさりと生成AIで代用できる。もちろん、もっと奥の深い使い方もあるが、ほとんどの企業では、検索の延長で使うだろうことは容易に想像できる。つまり、企業活動における情報収集は、劇的に簡素化され、コストが下げられるのである。
 そろそろ、今回のテーマの本題に入るが、本当の情報活用の意味と課題は、情報を収集して以降のことである。情報の共有と活用のプロセスを当社では20年以上前から、収集->共有->醸成->活用と定義し、企業支援の現場で適応してきた。
 先ほど述べたように、日々、進化しているのは、収集のプロセスである。自社にある情報もITが簡潔にまとめて、形にできる、外部からの情報は、AI君などが有効だ。そうすると、収集と言う部分は、今までに比べると格段に簡単になる。当然コストダウンにもつながる。
 そうなると、問題は次のプロセスからである。それは、共有プロセス、つまり情報の共有である。言うは易し行うは難しの典型がこの情報の共有である。日本では、20数年前から、情報の共有への取り組みが本格的に始まったと言っても過言ではない。私達もその役割の一端を担ってきた。この情報共有を簡単に言うと、会社の経営にとって有益な情報は、しかるべき人に、タイムリーに共有し活用しましょうということである。単に会議室の予約やスケジュールの共有の話ではない。顧客の情報は言うまでもなく、クレーム情報の共有、もっと機密性が高いレヘルでは、経営戦略、新商品の開発に関する情報などがある。また、判断基準も共有するべきことの一つである。
 程度問題はあれ、中小企業でも共有すればよい情報というのは沢山ある。ただ、一方で、ITリスク、情報セキュリティリスクが心配な時代。安易な共有はご法度なのである。中小企業が取り組むべき、第一歩。それは、まずは、社員、組織の情報感度を磨く事である。社員一人一人が情報感度を磨き、全体として強固な組織を形成する。組織としてのルールを徹底することも重要だろう。そして、しかるべき共有の仕組みが出来たら、醸成と言うプロセスである。いずれ、この分野でもAI君が活躍するだろうが、人間無くして真の醸成はあり得ない。感度というのは、人間のなせる業である。具体的に言えば、健全なビジネスなのか、社会に貢献できるのか、こういった企業自身の経営理念や倫理観も合わせての感度である。
 そういう感度を持った社員が情報を醸成する。そして、活用する。そのような相乗効果によって、組織内に好循環が生じ、組織がレベルアップしていくのだ。

以上

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