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何度でも、また出会いたい

10代の頃、とてもすきで繰り返し読んでいた本がある。菅浩江著『永遠の森 博物館惑星』。(今見たら、Kindle版は660円だった…!)

全世界の芸術品が収められた衛星軌道上の巨大博物館〈アフロディーテ〉。そこでは、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていた。切なさの名手が描く美をめぐる9つの物語。

昔から美術やファンタジーがすきだったわたしにとってツボすぎるこの作品。あちこちでおすすめしていたら、尊敬する先輩に「そういえば、続編出てるよ」と教えてもらった。『不見の月 博物館惑星Ⅱ』。

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑〈アフロディーテ〉では、データベースに直接接続した学芸員たちが美の追究に勤しむ。赴任したばかりの新人警備員・兵藤健は、いわくつきの芸術品、問題を抱えたアーティストらにまつわる事件に対処していく。

実に19年ぶりの続編。10代の頃感じたあのドキドキやワクワクは、今でも感じられるだろうか…。半ば不安に思いながらページをめくった。気づけば私は夢中でページをめくっていた。不安なんか感じる必要はなかったのだ。前作の登場人物たちとの再会、新しい登場人物たちとの出会い。ページをめくる指が止まらない。そして思った。

ああ、何度でも、また出会いたいな。

10代の頃、わたしはお気に入りの本を繰り返し繰り返し読んでいた。そして読むたび、気に入った言葉やフレーズに違う色のペンで印をつけていた。今ではあまりそんなこともしなくなったけれど、当時の本を見返すたび、「ああ、あの頃の自分はこんなことに憧れていたのか」「今のわたしもあんまり変わっていないな」「え、そこ!?」なんて昔の自分と向き合っている。

『不見の月 博物館惑星Ⅱ』とはまだはじめましてだけれど、何度でも、また出会いたい。今の私のお気に入りの箇所は、未来の私もお気に入りだろうか。


ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。