まだ終わらない旅
「それ」が長い旅の始まりになるなんて誰が知っていただろう。
高3の冬。
センター試験の数学で大コケ。
2次試験でも数学に泣いた。
死刑宣告を待つかのように迎えた合格発表の日。
私は高校の職員室で発表を見ることになった。
志望大学のホームページを開き、自分の番号を見つけた瞬間。
涙があふれて止まらなかった。
先生たちはうれしくて泣いているのだと思っただろう。
でも違った。
もちろんうれしかった。
けれど、「合格してしまった」という気持ちの方が強かった。
18年間ずっと同じ街で生まれ育って、がむしゃらに勉強してきて。
合格した瞬間、私は初めて思った。
地元が嫌いなわけでも離れたかったわけでもない。
ただ、興味の向いた先が外にあっただけ。
そして「外に出る」ということが現実になった瞬間、私は泣いた。
うれしかったけれど、不安や怖さの方が強かった。
人生で初めての、大きな旅立ち。
その旅は今も続いている。
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ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。