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紫陽花の花の咲く頃

 この時期になるといつも紫陽花を見に行く。ここ数年は、梅雨に紫陽花を愛でるのが、春に桜を愛でるのと同じくらいの恒例行事になっている。それをしないと落ち着かないくらい。

 紫陽花は一番すきな花だ。土の成分(酸度)によって色が変わるこの花は、ピンクだったり濃い紅色だったり水色だったり紫だったりするのだけれど、それぞれの色合いが微妙に違っていて、見ていて飽きない。

 紫陽花の花言葉は、「移り気」や「浮気」(!)らしい。季節や土の成分によって色が変わるところから、とのことだけれど、変わりゆくのが世の常なのだから、紫陽花ほど世の中を体現している花はないのに。もっといい言い方はないものか、と思っていたら、「無常」という花言葉もあった。ちょっと安心。こっちの方がフラットでフェアな印象だ。

 紫陽花にまつわる俳句で思い出すのは、正岡子規のこの一句。

紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘

 日々移り変わる紫陽花の色を写実的に描写すると同時に、花の色も人の心も移ろいやすいものだと詠った句。五七五の十七音の中に込めれらた思いの深さにつくづくうなってしまう。

 梅雨はじめじめしてあまり好きではないけれど、紫陽花はすき。特に雨に濡れた紫陽花はより一層色鮮やかで綺麗だと思う。晴れた日の紫陽花もよいけれど、雨の日の方が綺麗なのは、やはり梅雨の季節の花だからだろうか。

 雨が降ったら、また紫陽花を見に行こう。


ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。