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なみ
2021年3月13日 07:12
洗濯物が家の反対側に飛ばされた。ハンガーにかかったワイシャツが裏庭に落ちている。時おり、びゅーんと突風が来て、庭木や草が激しく揺れている。 30年前に開発されたこの住宅地は、漁師町から少し離れたところにある。しかし海に近いことには変わりなく、冬から春にかけては毎日強風が吹き荒れている。温暖な地域だが、前に雪国から遊びにきた祖母は、風があってこっちの方が寒いと言っていた。 3月になっても、まだま
2021年3月14日 05:26
☆☆☆☆☆前編はこちらです。あらすじ美南(みなみ)ちゃんは佳奈の幼なじみ。先日、佳奈は20年ぶりに美南ちゃんの母親に会ったのだが····☆☆☆☆☆電線の向こう側に鳥の群れが見える。舞い上がったと思ったら下がってきたり、右へ行ったと思ったら左へ行ったり、黒い群れは、リズミカルにアメーバのように形を変える。ビッビーーーッ クラクションが鳴った。信号が青になっていた。佳奈はあ
2021年3月20日 09:31
外から、ウ"ィー--ンと機械の音がする。台所では母が焼きそばを炒めている。「美紀ちゃん、ご飯できたよーって お父さん呼んできて。」「はーーい。」美紀は家の裏側にある小屋へ向かう。グレーの作業服姿の父が電動サンダーで木を磨いている。「おとうさん!」機械音に消され、全然気づいてもらえない。「おとおおさん!」父が手を止める。グレーの帽子をかぶった顔を上げる。「ごはん、できたって!」