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33歳無職の知人は、毎日楽しそうに生きている

私には「33歳無職の知人」がいる。友達ではない。

ちなみに、彼は男で、33歳で、恋人はおらず、というか、人生で恋人がいたことがなく、なんなら恋愛もあんまりしたことがなく、33年間で働いた期間は2年(不動産屋)。彼は、毎日、超楽しそうに生きている。彼が将来を憂いたり、不安に感じているのを聞いたことは、まだ無い。

主に経済的な面で、なぜ彼が普通に生活できているのか疑問に思っているけれど、その理由はいまだにわからない。彼曰く「なんか大丈夫」らしい。なんで?ギャンブルも危ない仕事もしていない。臓器も全部ある。たまに治験のバイトはやってるけど。

たまにバイトをしていたり、ふと消えたりするので、恐らく生活できるくらいのお金は稼いでいると思うけれど、平日だろうが休日だろうがいつでも連絡はつくし、会えば遊んだ話しか聞かない。それで生活できているのは実家暮らしが故だろうけれど、とはいえ、労働の話をしなさすぎる。今後働く気もなさそう。

この年になれば、友人と会って開口一番に「最近仕事どう?」が一般的なものだ。でも、彼は違う。
「あの映画みた?」
「同級生の○○と会ったよ」
「最近あそこのゲーセン新しくなったの知ってる?」
「肉食いたくない?」
仕事以外の話題しかない。

私はこのnoteを始めたきっかけも、今私の一週間のほとんどの時間を占めているのも仕事だ。それが嫌なわけではないし、むしろ充実しているなと思うけど、私は、彼と会う時間を大事にしている。

彼は「生きてるだけで良いんだ」と思わせてくれる。

働かなきゃいけない。
笑顔でいなきゃいけない。
大人にならなきゃいけない。
特に30代に入ると「30代以上の人間」として、それなりに振舞わないといけないという無言の圧が外部や自分の内側から溢れるものだ。

でも、本来そんなものは関係ない。
彼を見ているとそう思う。

もちろん仕事をすることで輝く人はいるし、素敵だと思う。
でも、働いてないから、なんだ。働いてないからって何でもない。彼は毎日とても楽しそうだ。

私はといえば、先週末まで、仕事が忙しくて、やっと山場を越えたタイミング。気が抜けた。彼に会いたくなった。

私は、恐らく今年中に人生二度目の転職をする。
業界も、職種も、特に決めてない。でも副業の方が楽しくなってきて、そちらに時間をさける仕事がしたいなと思い始めたのだ。
この会社に居続けるメリットはもちろんたくさんある。でも、私、もっと働きたい。

彼に話すと
「すごく良いじゃん!働くの好きだね!」
と綺麗な顔で言われた。

そう。私は働くのが好き。ただそれだけ。彼は働くのが好きじゃない。それだけ。私は彼のように生きたらきっと毎日不安で仕方ないけれど、彼からすれば毎日働く私の方がちょっと変わっているのだろう。

実は、転職前。
彼とずっと会えなかった。

彼と会うと羨ましくなって、自分がみじめに感じて、心の中で彼を蔑むこともあって、辛くなっていた。あの頃、自分は病んでいたんだと今ははっきりわかる。今はそうじゃなく、彼に救われているし、彼との会話を純粋に楽しめている。

やっと、人と自分を比べない私になってきたのかなと、そんなことを思う。

彼は最近、彼女が欲しいらしい。なかなか難しそうだけど。とくに、応援もしないでおく。また会おうね。

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