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【5G学級経営シリーズ第5話】   失敗でき,失敗と向き合う粘り強さを持つ。

「失敗をおそれないで!」「教室はまちがうところだ!」「間違ってもいいからいってごらん?」こんな言葉をよく耳にします。(特に「教室はまちがうところだ」でお馴染みの蒔田さんの詩は多くの先生方が絵本の読み聞かせを通して、子どもに教えていますね)

このようにして多くの先生方が「口先では」失敗してもいいと言っておきながら、でも実際に子どもが間違いをいうと、「他の意見は?」「それはちょっとおいておくね」といって、その子の勇気ある発言やチャレンジ心を打ちのめすような態度でその場をやりすごしている授業をよく目にします。

実は「失敗してはいけない」「間違わないようにしよう」という思考を自然と植えつけているのは、多くの場合、親や先生から受けた0歳から7歳までの心の傷が関係しています。これについては、五つの傷の本を読むとくわしく述べられているので気になる方は読んでみてください。

さて、では、具体的にどのようにしたら「失敗が認められる子」「失敗と向き合う子」に育つのかを私なりの実践や先人の先生方の教えから以下に書いていきたいと思います。

一番わかりやすいのは「わかる人〜?で進める授業」ではなく「安心してわからないがいえる教室」を作らなければなりません。

ソーシャルスキルの中で「援助要求スキル」というものがあります。私のクラスではこの「援助要求スキル」を教えています。

援助要求スキルとは「手伝ってください」「わからないので教えてください」「聞き逃したのでもう一度いってください」「助けてください」という言葉を使って、自分の困っていることを相手に伝えることができるようになることを言います。

そんな簡単に「わかりません」って自分でいうと思いますか?

もちろんいうはずがありません。いわせるのです。つまり、教師や親が「わからない人?」と聞いても、子どもは絶対に手をあげません。あげる場合は何か他の面(例えば空気が読めないなど)の発達課題を考えてもいいかもしれません。

私は「わからない人?」ではなく

「正直いうとピンと来てない人?」「頭の中ハテナの人?」「もっと考えるヒントが欲しい人」「みんな助けて!の人」「今、あてられたら困るっていう人?」のように、ききます。

実は、教師のきき方の引き出しの中からその場の雰囲気に合わせて言いやすい雰囲気を持たせることが第一歩なんですね。

雰囲気というのは何で決まるのでしょうか?

それは学級経営の中にある教師のふかせる「風」が関係しています。

「風」といっても実際に風が吹いているわけではなく、目に見えない雰囲気をあえて「風」と形で見える化するために使っていると考えてください。わたしたちには見えない「風」を、子どもたちにはよく見えているのです。どんな風が吹いているか、想像したことはありますか。(以下は川上康則先生の教えを参考にしています。)

①鋭い風:大声での強い指導をされる場面

②尖った風:言語だけで一方的に指導される場面

③不穏な風:パニックを無理やりおさえる指導、落ち着かせるためという理由をつけて無理に他のスペースへ連れて行くような指導

④熱い風:大げさに褒められる、意欲を鼓舞される指導

こういった風が家庭やクラスで吹いているだけで、子どもの「失敗したくない」という感情は自然と膨らんでいきます。

先生方、おうちの方、子どもについこんな言葉を投げかけていませんか?自分の胸に手をあてて思い出してください。

「何回言ったらわかるの」「どうしてそういうことするの?」「ねえ、何やっているの?」「誰に向かってそんな口をきき方をするんだ」などの質問形式の問い詰め。
「やる気がないんだったら、もうやらなくてもいいから」「勝手にすれば」「あなたの好きにしなさい」などの裏を読ませる言い方。
「はやくしないと〜させないよ」「じゃあ〜できなくなるけどいいね」という脅しで動かそうとする言い方。
「お母さんに言おうか」「お父さんにいうよ」「校長先生に叱ってもらうよ」という虎の威を借る狐のような言い方
「そんなこと1年生でもしません」「(弟や妹の名前を言って)〜でもできます」「もう一回、1年生からやり直してください」という下の学年と比較したような言い方
「じゃあもういいです」「さよなら」など見捨てる言い方

いくつ言ってしまったことがありますか?私も正直、言ってしまったなあと思う言葉があります。

こういった毒語を投げかけて行くたびに「心の傷」を作り、「失敗できない」「間違ってはいけない」という思いを増幅させているのです。

言霊という考え方もあるように、マイナスの言葉かけは子どもも大人もマイナスへ向かっていきます。

ここまで、わからないがいえる雰囲気づくりを通して、失敗できる子、失敗と向き合える子を育てることについて書きました。

うわべではなく、本当の意味で失敗が許されるクラスづくりをしていってほしいと思います。





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