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#3.5 《番外編》男性たちよ、競争社会から降りてきて。

《前回の投稿》


ここまでかなり堅く、ロジカルに、
冷静に綴ってきたので、
ここで一旦小休憩。

恋愛に関する最近の私の所感を、
漫画の感想を交えながら話し、
そこに「親密関係の課題」を織り交ぜて話していこう。

「35くらいの恋愛」がしたい

今、ヤマシタトモコ氏の『違国日記』を読んでいる最中だ。

あらすじはさておき、主人公の1人である高代槙生(こうだい・まきお)という小説家は、私のこれからの人生の新たなロールモデルになりつつある。

私は、人に対する好奇心親和欲求が高い(だから心理学を目を輝かせながら専攻していられる)のだが、その一方で、
人に対する恐怖心や大人数に対する嫌悪も持ち合わせている、
厄介なタチである。
(世にこれをHSS型HSPと呼ぶこともできるらしい)

世間的に肯定的な評価を得るのは前者である。だから元気があれば前者でいられるのだが、あまり長く保たない。

バイト先でも数時間に15分、
ひとりになれる休憩時間があるからこそリラックスできているし、
人でごった返す渋谷には最大で2時間くらい滞在するのが精一杯だ。
(ひとりで買い物したり、
個展を見に行ったりする分には
人々が風景やBGMと化して
かえってオアシスなのだが、
人が集まるイベントなんかが目的で行くと
帰り道は半泣きになっている。
疲れでパンクしかける。)

そんなんでよく東京で生きてるられるなぁと思わなくもないが、
高代槙生を見ていると、
それがあなたで、あなたにとっていいなら、それでいい。
と言われているみたいでものすごくホッとする。完全に私は、高代槙生の虜である。

違国日記(6) 「page.13」より
違国日記(6)「page.13」より

槙生はまさに「アサーション」の体現者で、アサーティブになりたいと奔走しているこのタイミングでこの作品に出会えたことは、
私の進んでいる方角が正しいということを教えてくれているみたいに感じる。

そして、そんな槙生とその元恋人・笠町の関係模様が、21の小娘にはものすごく憧れるものがある。
というか、笠町くんが最高に、いい。
いい。

違国日記(2)「page.9」より

2人は25の時に出会い、交際し、現在は別れて友だちとしてうまくやっている。
この時点で"大人な感じ"がして、2人はものすごくかっこいい
私が2人の関係に憧れ、「35歳くらいのもの同士がする恋愛」に憧れる理由の一つだ。

Case.1 挫折を経験し、しなやかになった笠町くん

笠町氏のいいポイントはあげるとキリがない。
・いい匂いがする(多分生物学的なやつ)
・大型犬系でとにかく尽くしたがり
・お坊ちゃんで育ちが良い
・色気がある(エロい)
・槙生に対するリスペクトが厚い(彼女の書く少女小説作品を読んで毎回感想を伝えている。槙生は読まなくていいと言っていても、だ。彼女の仕事、生き様に対するリスペクトが厚い)

そして、私にとって何よりも彼が魅力的に映る点は、「男社会の競争から降りている」点にある。

違国日記(6)「page.13」より
槙生に「さみしいってどんな時に感じる?」と尋ねられ答えるシーン。

笠町くんは、競争の厳しい男社会からはドロップアウトしている。
ネタバレになるが、彼はかつて完璧主義的な傾向があり、おまけに人生のオーナーシップを持っていなかった(父親の望む通りに生きようと必死だった)。
そのため、取り繕い続けた弱さを初めて指摘されたのをきっかけに、一度鬱をやっている。
これを受けて勤めていた銀行を辞め、転職をしていることから、いい意味で「男性らしさ」を手放せたうちの一人なのだ。

違国日記(7) 「page.32」より
違国日記(7) 「page.32」より
違国日記(7) 「page.32」より
違国日記(7) 「page.32」より

case.2 完璧でいるのを諦めたことで、自分の声に従えるようになった中村くん

こういうキャラクターに惹かれたのは、
笠町くんが初めてではない。

男性社会の厳しさを取り上げた作品の一つで、『バツイチ2人は未定な関係』も
私はものすごく好きだ。

主人公の真実(まみ)と中村くんは、お互いバツイチで名前のない「未定の関係」を独自に築いている。
そしてこの中村くんも、離婚を機に男性社会からドロップアウトした1人だ。

バツが一つ付いただけでも、自分がこれまで積み上げてきたものに傷がついしまい、
完璧な自分でなくなった
ことに焦りを覚えていた中村くん。
唯一の救いだった真実とひと揉めしたことをきっかけに、休職を申し出て療養休暇を取得。彼も抑鬱を経験することになる。
その後、中村くんは自分の好きなことに耳を傾けることができるようになり、
好きなことで独立することを夢見て再始動
することになる。
真実とも、夫婦同然の関係になっていく。

休職中、休むことが第一であると分かっている一方で、仕事で順調な真実の姿に焦りを覚え、
「『頑張らなくていい』って言わないでくれ!」
と言い放つ場面が印象的だ。
男性社会の過酷さを見て取れる。

バツイチ2人は未定な関係(2)
「第9話 男のしごと」より
(以下同上)

〈大好きな中村くんに、
こんな思いをさせる仕事って何よ…〉

真実の悲痛な叫びには私も共感した。

私たち女性はまだ雇用の平等を求めている段階で、仕事を生きるための「ツール」として割り切れている部分があるかもしれない。
しかし、男性にとっては仕事は
生き様」であり「人生」であり
プライド」であり「すべて」であるのかもしれない。そんなふうに考えさせられた。



愛する人をこんなにも追い詰める男社会は、競争社会は、本当にそうであらねばならないのだろうか。


挫折を経験した男の"色気"の正体

一度挫けたことのある男の色気というのは、計り知れない。
痛みがわかるようになったからこそ包容力がパワーアップしているし、寛容さも増している。
決して私たち女性に"いい思い"をさせてほしいから、挫折しろと言っているのではない。

わかる痛みが増える。

これがどれほど人生を豊かにするかを、
男性たちは競争からのドロップアウトによって知ることになるのかもしれない。
立ち上がれなくなって初めて、人の手を借りれるようになるのかもしれない。
拠り所が増える、すなわち精神的に自立するのかもしれない。

けれど、本当にそこまで追い詰められなければならないのだろうか。

「男性 自殺」の検索結果

私たちの前でくらい、安らぎを得てほしい

家族の前でまで偉くなくたっていい。
恋人の前でくらい甘えてほしい。

けれど、このONとOFFの切り替えを許さないほど、男社会の競争は壮絶であるようだ。柔軟さを許さない部分を感じる。

私の周りはまだ学生で、大きな挫折を経験した人はそれほど多くなく、
それはある意味嬉しいことではある。
しかし今後、彼らが社会の波に揉まれていく中で、どう変わっていってしまうのか、少し案じている。

そんなに、ホッとするのはいけないこと?

弱いことはいけないこと?

自分の心に従って涙を流すことで、どうしてそんなに責められなければならないの?

あなたには、ありのままのあなたで
十分に価値があるんじゃないの?

弱さを曝け出して対等に向き合え、自分の体のことも心のことも選択できる"35くらい"に、早くなりたい

こんなわけで筆者は「早く35くらいになって、落ち着いたら恋愛がしたい」と思ってしまうわけである。ピチピチの21歳が、早くも15年後のことを考えている。
頼むから今を懸命に生きてくれ。()

しかし残念ながら、35にもなると妊娠のタイムリミットは無視できないので、そこまで本気に考えられないのが悩ましいところだ。

断っておくが、
30代まで現役で恋愛したいんじゃない。
30代になってからしかできない恋愛もしてみたいのだ。

経済的にも精神的にも自立していて、
親密な関係をある程度築いてきた経験値がある。

そんな状態で築くパートナーシップに、ものすごく惹かれるものがあると、齢21は感じているのだ。
本当にするとなると「結婚・出産と引き換えに」なってしまうが…

夫婦の〈独身時代の〉発達課題
: 自己の確立

ちなみに、#3で親密関係を客観視することにチャレンジしたが、(↓以下のリンク)

夫婦には「発達課題」があり、ライフサイクルの中で乗り越えていかなければならない予測される危機が存在するとされている。

実は上で述べた、私の憧れている
・精神的に自立した状態
・経済的に自立した状態
・親密関係の構築・継続した経験がある状態

は「独身の段階での発達課題」として定義されている。

以下の書籍のKindle版33ページより引用


なのでぶっちゃけた話、
槙生と笠町くんの関係は別居婚の夫婦みたいなもんだし、
真実と中村くんも籍入れていないが側から見れば揺るぎのない信頼関係ができあがっている。
2組とも、夫婦"みたいな"もんなのだ。
恋する夫婦。私に言わせれば。

自分の体のことも、
自分の心のことも、
自分で責任をとれるように、
私は早くなりたい。


就職してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!



次回から少し毛色を変えて、私の実体験に沿って書いてみます。⇩

magazineから全部読めます🙌


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