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ジェイムズ・ウェッブの次の次の計画が明らかに

2022年の天文学最大のトピックはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の成果ではないかと思います。いくつか賞もとり、過去にも触れました。

そして、つい先日NASAが次の計画についてその構想を発表しました。

ようは、
知的生命体が存在する可能性のある天体を調査する宇宙望遠鏡を計画中、
という話です。
※タイトル画像も上記記事内のイメージ画像から引用

まだJWSTが打ちあがったばかりで気が早すぎするのでは?と思うかもしれませんが、JWST自体も打ち上げ実現に20年以上要しています。
今回の話も時期としては2040年を想定しているので、その意味では特に違和感はないです。
厳密に言うと、直近の次期望遠鏡は既に進行中で、2027年打ち上げ予定のナンシーグレースローマン天文台と呼ばれるものです。
これは、ダークエネルギーと太陽系外惑星探求を目指した2.4メートルの望遠鏡です。
ダークエネルギーについては過去投稿の引用にとどめておきます。

今回は、さらにその次に構想されている望遠鏡について、上記記事をもとに掘り下げておきます。

まず、この次々世代望遠鏡の名前(確定ではないです)は下記です。
the Habitable Worlds Observatory (HWO)

直訳すると、「生命体が存在出来る可能性のある世界の探究」といったところでしょうか。

何となく名前が全てを物語ってると思いますが、地球のような生命体を持つ惑星を探査するのが目的です。
このテーマは天文学研究の優先リストとして上位に来ており、それが今回の構想背景にあるようです。
大きさ・形状・観測場所はJWSTと似ており、傘(JWSTは日傘)のついた赤外線領域(やや短い)を狙って150km離れた場所で観測します。

アンテナの外形精度ですが、JWSTはナノ(10億分の1)単位の精密さを実現しています。そしてHWOはさらにその1000倍の性能(ピコといいます)を求めます。

そしてこれらを運用する仕組みはロボティクスの新しい技術革新に期待しており、自律的な修理またはUpdate機能で長期間の利用を目指すとのことです。(穿って言えば現時点では技術的に実現困難ということだと思います)
勝手な推測ですが、テスラのリモートによるソフトウェアアップデートに概念は似ているのかもしれません。

技術的な難易度以上に難しいのがその資金調達かもしれません。
実はNASAの天体物理部門は唯一予算縮小しており(前年比4%減)、上記構想とこの段階での発表も、よりニーズのあるテーマを掲げることで予算獲得もねらっているのかもしれません。

宇宙開発は産業用途の通信衛星が最近目立ち、それによる地上からの天文観測への弊害も以前から叫ばれています。

勿論宇宙を通じた産業振興も大事ですが、このような長期かつ経済合理性とは違う目的に向かった科学的な探求もバランスよくすすめていけるよう、1科学ファンとしては願っています。

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