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遺伝子技術が日常に。生活家電と植物の融合へ。

遺伝子編集技術は、第三世代にあたるクリスパーCas9の発明で一気にコスパが高くなりました。
ただ、誰でも手が届きやすくなったがゆえに、悪用については懸念の声もあります。

欧州で、遺伝子編集技術の作物に対する規制を緩和する動きがあり、こちらの記事で取り上げられています。

遺伝子編集技術の作物

上図はドイツで開発中の実験小麦です。従来より収穫量の増大と、害虫・病原体への耐性を高めることができます。

日本でも遺伝子編集による農作物は、農林水産省が奨励しています。
過去に投稿した記事があるので、もう少し関心ある方はそちらを。

ようは、
遺伝子(ゲノム)編集は、従来自然が行ってきた突然変異を人工的に起こすもので本来存在しないDNAを持ち込む遺伝子組み換え技術とは違う、
という話です。

冒頭記事によると、EUでは2018年にCRIISPR含む遺伝編集技術を遺伝子組み換えと括って規制に踏み切りました。
それを今回、編集技術は組み換えとは異なるとして、この規制から免除する方針です。ただ、たとえ遺伝子編集技術でも、複雑な編集や外来DNAを必要とする際は従来の規制で縛られます。

今までの話は我々が食料として摂取するので敏感にならざるを得ないです。

が、別の角度で我々の生活に遺伝子技術を施した植物が登場しました。

今年のCES2024でも展示され話題になった、遺伝子組み換え技術で作られた観葉植物です。

公式サイトより

一見普通の観葉植物ですが、遺伝子技術で有害物質(ホルムアルデヒドなどVOCと呼ばれるものの一部)を吸収する能力を高めています。従来比の20倍とのこと。

まさに空気清浄機と観葉植物の融合。

ざっくりその仕組みを上記記事から整理します。

まずはポトスという植物に対して、有害物質を変化(ホルムアルデヒド→魏ギ酸)させる遺伝子部を複製して強化し、さらに別の細菌が持つ遺伝子(ギ酸→CO2)を外から挿入して作られます。

機能を維持する微生物の入った肥料もつけたセットで販売するようです。

驚いたのが、今年中には米国で販売を開始し、価格が179USドルと思った以上に廉価です。

20倍とはいえ、日々の生活でどこまで実感できるかは分かりませんが、気分としては安心を与えそうですね。

ただ、これはあくまで1つの象徴で、同じように日々の生活で見る植物が生活家電の役割を持つ、という発想は今後広がるかもしれません。

妄想したものを挙げておきます。

・ライトの機能を持つ
・食べるとサプリになる
・音楽スピーカーになる
・監視カメラになる

最後のはちょっと嫌な使い方ですが、これを機会に植物との向き合い方について考えるのは面白いと思います。

いずれにせよ、日常生活と遺伝子技術との接点を作る大きなきっかけになりそうです。

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