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量子の世界もホログラフィとAIが大活躍

2022年にノーベル物理学賞で話題になった「量子もつれ」、今ではその理論は受け入れられて、むしろその応用が進んでいます。

このニュースは、より学際的な研究成果を表すわかりやすい例です。

ようは、
AIで量子計算が高速化した、
という話です。

 相当端折って書きましたので砕いておきます。

量子計算とは素粒子というミクロレベルでは無視できない量子効果を踏まえた計算で、そのためには「もつれ」状態を解きほぐす必要があります。

もっといえば量子もつれにある素粒子群は、まず波動関数でその物理的な情報量を確率的に表現しますが、その測定行為によって他の素粒子にも影響を与えるため、複雑な計算を要します。(思い切ってたとえると、紐のついたビリヤードみたいなイメージでしょうか)

複雑であるがゆえに、まずは2つのもつれ状態にあるシーンでまず計算します。一度測定すると初期状態が壊れるため、オリジナルコピーを複製して何度も測定し、それをパッチワークのごとく重ねる技法があります。

一般的に2次元を重ね合わせて3次元化することをトモグラフィーといい、そこからこの方法を「量子トモグラフィー」と呼ばれます。
立体的な画像技法「ホログラフィ」の一種といったほうがより親近感がわくかもしれません。

が、冒頭記事内では普通に計算しても数日かかるようです。しかも、それでも断片的な結果しか得られず、わずかな時間のCTスキャン結果をみるような
イメージとのこと。

そこで、その測定の一部を省略して、深層学習で予測する新しい方法を考案したのが冒頭論文の主旨です。

元々そういったアルゴリズムはあったのですが、今回の深層学習を使ったアプローチは従来よりだいぶ誤差が減少する(10分の1)結果を生んでいます。

アルゴリズムの中身までは難解で追いつけてませんが、例えばコピペした多くの量子状態からランダムに選んだ1つのもつれ状態の出力が、他の量子系の入力に使われるなど、ダイナミックな手法も駆使されているようです。(ここだけでわくわくするのは私だけでしょうか?)

ちなみに、計算する単位は「量子ビット」、もっといえば量子コンピュータを活用しています。

量子コンピュータ自体も性能向上が続き、特にその1分野である「光量子コンピュータ」は日本の研究グループも活躍しています。

最近でも、こんなニュースが目に留まりました。

つまり、量子もつれ状態という物理世界を、量子コンピュータを使ってAIで解明される、まさに「物理のデジタル化」が相互発展の中で加速度的に進化するのかなと想像しました。

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