宇宙の年齢は(138億年でなく)267億年?
なかなかショッキングな発表が、オタワ大学から行われました。
ようは、
宇宙年齢は従来よりはるかにながい267億歳かもしれない、
という話です。
従来の宇宙年齢は、約138億年とされています。(細かくは137 億 9,700 万年)
しかも長年この分野を研究してきた専門家による仮説です。一笑に付するわけにはいきません。
今回は冒頭記事とその補足を紹介しますが、宇宙年齢については過去にも触れたので先に引用しておきます。
ようは、
従来の宇宙年齢はラムダCDM(コールドダークマター)モデルが主流で、そこから膨張定数を計算している、
という話です。
ところが、2022年より観測を始めたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡が初期の宇宙像を描き出してくれました。
その結果、思った以上に赤ちゃん時代と思われていた時期でも発育した銀河などが見つかりました。
この不思議な事象を説明すべく、冒頭記事の研究者は大胆な2つの仮説を提言します。
1.光(ものさしですね)が長距離を進むとエネルギーを失って赤方偏移が発生する、
2.粒子間の相互作用を定める物理定数が時間とともに変化する
いずれも宇宙像に変革を迫るほどのインパクトのある仮説ですが、2については、若干近い理論は以前よりありました。
しかも、天才で名高いディラックで、過去に取り上げた記事を引用しておきます。
あのディラックでさえ、その説はあまりまともには取り扱われなかったようで、やはり今から100年前ではその証拠に乏しかったのでしょう。
ところが現代はそのジェイムズウェッブという探偵が証拠を見出しており、宇宙創成後わずか数億年後には、恒星やその密集体である銀河の存在が見つかっています。
1つだけ最近の紹介記事を載せておきます。検索するとこの手の話題には事欠きません。
もっと決定的なのは、冒頭記事によると、現年齢(138億歳)より古いと思われるメトセラという恒星の存在も見つかっています。(ただ裏付けとなる情報は見つからなかったのでやや眉唾・・・)
それで上記の1つ目の仮説に戻りますが、実は(冒頭記事にもふれていますが)この仮説も2のディラック同様、先達が同じ説を唱えていました。
ツヴィッキーという科学者です。タイトル画像は下記Wiki内画像より引用。
過激な表現で人を馬鹿にする(日本語でいうと、ろくでなし、的な・・・)ことで有名な方ですが、実はこの方が史上初めて銀河の膨張がダークマターによるもの、という仮説を提唱しています。
上記の通り変わった方で、当時はあまりまともに取り合われなかったと聞いています。
それを説明するために提出した仮説が「疲れた光理論」で、それがまさに1を指しています。
ということで、年齢が古くなるために持ち込んだ理論は従来説ですが、何よりも今回は物的証拠がより豊かになっています。
しばらくこの仮説がどのように膨らんでいくのか?(または改めて流されるのか)、その発展に注目したいと思います。