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最新重力波検出器が量子宇宙を切り拓く

前回中性子性の合体が重元素を生み出した、という発見物語を書きました。

その最後の立役者は、中性子星合体で発生する重力波を検出したLIGOという重力波測定施設です。

丁度2023年10月に、そのドキュメンタリーが無償で公開されているので紹介します。

長いので要約しておきます。

重力波の発見: 2015年9月14日、ルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードにあるLIGOの検出器が、2つのブラックホールの合体から生じる重力波を検出した。この画期的な観測により、アインシュタインの一般相対性理論による100年前の予言が確認された。

運用上の課題 :LIGOは、地震、伐採トラック、その他の環境要因など、その繊細な機器を混乱させる可能性のある様々な課題に直面した。さらに、科学界には懐疑的な見方もあり、結果の厳密な検証が必要であった。

検証プロセス: ビデオでは、信号がエラーや干渉によるものでないことを確認するための厳密な検証プロセスについて説明している。例えば、「不正な注入」の疑いが一瞬ありましたが、最終的には否定されました。重力波を検出するという重大な意味を考えれば、この厳格な検証プロセスは極めて重要であった。

検出の意味: 重力波を検出しただけでなく、LIGOは連星ブラックホールの合体を観測した。合体とそれに続く重力波は、空間と時間の強力でダイナミックなゆがみを直接観測した。

その後の検出とより広い文脈: 最初の発見の後、LIGOはさらに重力波事象を検出し続け、最初の発見の信頼性をさらに確固たるものにした。この継続的な探査により、前例のないインサイトが得られている。

ChatGPTによる要約

LIGOの重力波検出方法については、過去の記事にも軽くかいたので念のため添えておきます。

そして現在は立ち上げ期より改良が進められ、ついに量子のレベルまで解析可能になった、という発表も行われています。

直感的にわかる動画も公開しているので、こちらがわかりやすいです。

ようは、
量子力学が要請するノイズを軽減するために、周波数の高低別に新しい絞り込み方法を編み出してより解析能力が増した、
という話です。

上記のノイズとは、「不確定性原理」と呼ばれるものがもたらします。

そもそもですが、量子力学とは原子のサイズでの挙動でのみ支配される不思議なルールです。なので日常生活では気にしないで大丈夫です☺

その世界では、
素粒子は位置と運動量は同時には完全に観測できない、
という原理があります。
LIGOはこの法則に近づくほどのミクロな観測を行っています。

そして今回の改良によって、従来よりも検出する数を60%も増やせます。

アイデア自体は1970年代のこちらの論文で提示され、半世紀かけて実ったというわけです。
固い内容ですが、文中にはこんな写真が挿入されています☺

上記論文内の写真

従来はキャベツのようにとらえていた周波数をキュウリにみたてて高低をコントロールしよう、というたとえです。

こういった固い話でもユーモアを忘れない精神は大好きです。
理解できなくてもいいので、科学に触れて愛でるためにはこういった小さな「クス」が意外に大事じゃないかなと思います。

LIGOは今Enhanced→Advancedとその形容詞も変遷しています。

これからさらに重力波観測が増えて、我々に新しい宇宙像を与えてくれるのを期待しています。

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