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SCIENCEブレークスルー賞2023:肥満を科学する

毎年恒例のScience誌によるブレークスルー賞が発表されました。
先に、昨年の内容を振り返っておきます。

昨年は最新の宇宙望遠鏡が表彰されました。今でも最新の宇宙像を届けており、連続で賞を獲得してもおかしくないほどの活躍ぶりです。

2023年の賞は、こちらのサイトで公開されています。

肥満への科学がテーマです。

肥満は大体BMI(体重kg ÷ (身長m)2)が25以上でみなされます。
細かくはその度合いも決められており、1つだけ解説サイトを紹介します。

世界の肥満状況は、結構やばい状況です。なんとあと10年ほどたつと世界の半分が肥満になるそうです。

肥満を防ぐには当然体重を落とすしかないわけですが、過去はなかなかうまくいかなかったのでしょう。
確かに常になにがしかの新しいダイエット法が登場していることから、その挫折が伺えます。
今回の受賞記事内では、逆に他の臓器に悪い影響を与えた薬物例も紹介されています。

で、今回受賞したのはGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)と呼ぶ薬です。

元々糖尿病として開発された薬で、従来の減量薬のように副作用もコントロールでき、心臓発作や脳卒中のリスクも軽減できる可能性が指摘されています。(こちらの記事)

といった安全かつ多彩な改善が期待できるところがブレークスルー賞に選定されたポイントです。

で、いったいどんな仕組みなのか?

元々は20世紀末から開発がすすめられ、大きなきっかけは「ホルモン」の動きに着目したことです。

こちらの日本語サイトが分かりやすく解説しているので紹介します。

ようは、
我々が食事をとるとホルモンが小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進します。
その1つがGLP-1というわけです。上記サイトからわかりやすい図を引用しておきます。

出所:上記事内の図

ただ、もともとはあくまで糖尿病として承認を得ました。
そのあとに、ノボ ノルディスクがこの仕組みを応用したセマグルチドが米国で体重管理向け投与しよし、とゴーサインを出したのがフィーバーの始まりです。 (アメリカでは糖尿病用のオゼンピック、肥満用のウィゴビーとして販売)
毎日の服用でなく毎週の注射が必要でしたが、この薬を摂取した人々は、約 16 か月間で前例のない 15% の体重減少を達成しました。食べたいという執拗で苦痛な欲求が弱まるそうです。(私は未経験)

そして前述のとおり病気の改善にも貢献する可能性が指摘されています。

投稿時点では2つほど注意点があります。

まず、これはずっと飲み続けなければいけないかどうか、という点が不明ということ。中毒性の話はきいてないですが、一生ものだとするとなかなかの負担です。

2つ目が、国によって用途が決まっていることです。

以前日本のニュースで見たのですが、糖尿病用なのに肥満減少のために購買する層が増えて、糖尿病患者に行き渡らないという話を聞きました。

一過性であればよいのですが、重度の患者から行き渡るようにうまくさばける仕組みがあると、よりGLP-1の株もあがりそうですね。

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