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生命の起源:無機物から有機物、そして遺伝へ・・・

前回、生命誕生の初めの関門「無機物から有機物」について、1つの仮説を紹介しました。

ようは、
(水素・二酸化炭素・硫化鉄が豊富にある)海中のアルカリ性熱水噴出孔であれば、化学反応で有機物を産み続けるかもしれない、
というはなしです。

ただ、この段階ではまだ下記定義に沿う「生命」には至っていないので、もう少しその先の流れを補足しておこうと思います。

上図でいえば、まずは「3.代謝」機能を獲得したという仮説でした。

まずはアセトアルデヒドやメタンなど単純な有機物が増え、そして「壁」の役割を持つ有機物も生まれます。つまり、「2.境界」機能の獲得です。

今の細胞での細胞膜・壁(植物のみ)を意味しますが、これは脂質の二重層で出来ています。

こちらの書籍で、まずオタマジャクシ状の脂肪酸が組織化したという説が紹介されています。
オタマジャクシの頭と尾で水の親和性が異なり、それが徐々に集合して球状の膜を形成していくわけです。

後年になって、その細胞膜を貫通した物質もどこかで誕生し、アルカリ性熱水噴出孔の壁の役割を担う、つまり有機物を生成するエネルギーを供給する役割を担ったのかもしれません。
これが、過去に触れたABCトランスポーター(マクスウェルの悪魔)の元祖でしょう。

悪魔がいつ誕生したかはともかく、こういった過程を経て、生命誕生にとって居心地のよい環境が整っていき、より豊かな(高分子の)有機物が醸成されていきます。

改めてここまでの「自然な(人為的でない!)」流れについて、箇条書きで補足的に整理しておきます。

1.原始地球はマグマ状態
2.地球が冷えていき、大気内水蒸気が水となって海を形成
3.水蒸気と合わせて大気内の気体(水素・二酸化炭素)も海に溶け込む
4.3が地表鉱物と反応することで、アルカリ性熱水噴出孔が形成(その1つが前回触れたロストシティ)
5.壁を隔てた酸性度差異による酸化還元反応で無機物が有機物へ
6.有機物自身が壁の役割を担い、より複雑な有機物醸成へ

こういった経緯を経て、ついに「1.自己複製」機能を持つ複雑な分子が誕生します。

いわゆる「遺伝」の誕生を意味します。

が、これだけでも神秘と言っていいぐらい奇跡的な瞬間で、このような機能を持つ有機物を生成するには「さらに大量のエネルギー」が必要です。

少なくとも、前回ふれた単純な酸化還元反応だけでは不足で、新たな生命エネルギー発電所を建設しないといけません。

それが、数十億年も存在し続ける「細菌」が備えているエネルギー生成メカニズムの元祖、と推測しています。

次回は、その生命誕生にいざなう「エネルギー革命」についてもう少し補足しておこうと思います。

<参考リソース>


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