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宇宙ステーションと人工重力の必要性

AirBusが人工重力搭載の宇宙ステーション構想を発表しました。(タイトル画像も下記記事内より引用)

Airbusと聞くと、何となく民間向け航空機メーカーのイメージが強いかもしれませんが、宇宙部門も古くからあり、欧州でのロケットや衛星開発において重要な地位を占めています。

ただ、宇宙ステーションの発表は今回が初めてです。上記記事内の動画を引用しておきます。

ISS(国際宇宙ステーション)は、2030年までの現状運用が決まっており、以降は民間委託の方針です。
そういった背景をうけ、民間でも宇宙ステーション建設を目指す動きが出ており、今回もその1つです。

AirBus以外の代表的な企業名を挙げておきます。

ブルー・オリジン(米国)、ナノラックス(米国)、ノースロップ・グラマン(米国)、Axiom Station(米国)、DigitalBlast(日本)

国内にも、宇宙ステーションという大きな構想を掲げている企業があるのはとても誇れますね。

既に今のISSに対しても積極的に実験装置を開発しています。

話をAirBusに戻します。

今回のこだわりポイントは、人工重力発生装置です。

ちなみに、「重力がない方がある意味身軽でいいのでは?」と思うかもしれませんが(確かに楽しそうではあります)、無重力が続くと人体には影響があります。
例えば、長期間に宇宙に滞在した宇宙飛行士は、骨密度低下が確認されています。

そのために、日本でも地球上と同等の重力を発生させる施設を考案しています。

もう1つ、有名なSF映画「インターステラー」を取り上げます。

この映画は、相対性理論の大家キップ・ソーンが科学監修を務め、そのディテールのこだわりには定評があります。
環境破壊で維持が難しい地球からの移住先を求めて、土星近傍に出現したワームホールに旅立つのですが、その宇宙船(エンデュランス号)でも人工重力を発生させるためグルグルと回転しながら運行しています。
(要は遠心力ですね)

今回AirBusが導入したのは、こちらと異なり、月面と火星と同じ微重力を発生させる装置です。

つまり、将来的に月・火星への長期滞在する時代を見据えて、シミュレーション出来る実験施設です。

ちなみに、地上でも出来なくはないのですが、ある意味無重力よりも難しいです。
例えば、疑似宇宙旅行体験で飛行機の自由落下を利用したサービスは既にあります。1つだけ紹介しておきます。

ただ、月面は地球の6分の1、火星では3分の1なので、自由落下だけでは実現できません。コントロールが結構微妙だったりします。

日本では植松電機が運営する、微小重力発生装置があります。

こちらはわずか3秒間ですが、衛星や探査車の耐久テストなどで利用されています。

今回の施設は、宇宙空間で再現するというある意味逆(?)の発想です。

途中で紹介したインターステラーという映画では、重力をどうコントロールするか?が目標で、最後にブラックホール内部の量子データを入手することで実現します。(これ以上はネタバレのため割愛)

AirBusの宇宙ステーションは、そんな時代へとつなぐ重要な架け橋になるかもしれません。

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