見出し画像

反重力というロマンと宇宙最大規模のミステリー

「おぉ」とつい声を上げた記事を全国紙で見かけました。1つ紹介。(タイトル画像のCredit:CERN)

ようは、
反物質にはたらく説もあった反重力の存在が否定された、
という話です。

上記の記事でも説明がありますが、
「反物質」とは電気的に反対でそれ以外は全く同じ性質を持つ素粒子
のことです。
歴史的には、20世紀初頭に活躍した物理学者ディラックが理論的に予言したといわれます。過去にも紹介したので引用します。

電気的に反対である以外は同じなので、さながら「双子」のような存在です。今回の反重力は、この電気に相当するものが「力の作用」に置き換えたイメージです。

一方、重力は(日常生活では)万有引力として引っ張る力を引き起こしますが(我々が頑張ってジャンプしても地球に引き戻されて地上に舞い降ります☺)、反物質にはその逆となる「反重力」が作用するのではないか?という仮説もありました。(SFでは浮く力として鉄板のネタです)

今回の実験では、水素の反物質「反水素」を人工的に生成し、そこに重力がどう作用するのか?という実験です。
そして記事の通り、通常の物質と同様、地表の実験では下に引っ張られる「重力」のほうが強く作用している(反重力ではない)、
ということが分かりました。
NHKで流された実験イメージを張り付けておきます。

出所:冒頭記事内の動画

実験には日本人研究者も重要な役割として関わっていたこともあり、一般紙もとりあげたのでは?と推察されます。

この活躍はもう少し続くかもしれません。

今回自由落下させて、それが上か下かで判断しました。前提として、完全に素粒子を静止させる必要があります。

人間であれば、距離走の「よーいドン」手前の状態で、最近は機械でフライングチェックもできるので安心できます。

ところが、素粒子を静かにさせるのは相当難儀です。。。ミクロでみればみるほどうごめいており、完全静止させるためには温度を冷やす必要があります。
もっといえば、
熱とは素粒子が動く度合いをマクロ的に表現したもの
とも言えます。

今回は上か下かを明確に判別させる程度に静止させればよいのですが、次にこの研究グループが目指しているのは、
果たして反物質は物質と同じ重力作用なのか?、
を検証します。
どうも方向は同じっぽいけど、その力の作用まで全く同じなのかを調べたいということですね。

その技術として反物質を冷やす「レーザ冷却」が採用され、日本人研究者もそこに貢献しています。

もしかしたら、今後もうれしい第二報が届くかもしれません。


話を「反物質」そのものに戻します。

実はこの存在は、宇宙物理学最大級のミステリーだったりします。

それは・・・
「反物質はなぜこんなに少ないのか?(ほぼない)」
という謎です。

これは未だに解かれていない物理学最高級のミステリーとしてたたずんでいます。

過去と現在の名探偵たちの推理については、どこかでもう少し掘り下げてみたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?