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画像を量子テレポーテーションした話

量子テレポーテーション、という言葉は初見だと誤解を与えかねないですが、れっきとした言葉です。

その進展に関する研究発表が行われました。(元論文はこちら

ようは、
画像情報として、量子もつれ状態にある送信側を制御することで受信側の表現を制御することに成功した、
という話です。

量子もつれは、素粒子間の不思議な性質で、いったんもつれさせるとどんな遠隔でもあたかもテレポーテーションで情報を伝えたかのような相関性が見いだされる物理現象です。過去の投稿記事を載せておきます。

上記の話から、「量子テレポーテーション」という言葉がついたのですが、あくまでもつれている状態なので、物理的な何かが遠隔移動をしたわけではないです。
もつれた素粒子間には観測できない不思議な赤い糸がつながっており、片方を操作すると糸経由で別の素粒子にも影響が伝わる、みたいな感じです。(そうしないと頭が混乱するので、そういうもんだとうけとめています)

元論文の図を引用して補足説明しておきます。

https://www.nature.com/articles/s41467-023-43949-x.pdf

上のブロックにある2つの光子がもつれた状態です。
BOBとALICEとは、送信と受信をこのように呼ぶ不思議な慣習のなごりです☺

BOB(送信側)から片方のもつれた光子に受信側に送りたい情報になるよう制御します。これが今回の研究のコアにあたるところです。もつれた状態のままでっ制御可能、ってことですね。

この時にBOBからALICE(受信側)には、物理的な移動はありません。そしてALICEは特有の非線形検出器と重ね合わせると送信側の情報を見ることができます。

冒頭記事では、それを銀行の通信に使えるとして紹介しています。

冒頭記事内の図

今回はしかも、従来よりも高次元(それだけ密な情報)の送信に成功したとありますので、これがよりコスパと次元が高まっていくと上記のような産業シーンが登場しそうですね。

さらには、量子テレポーテーションは、量子コンピュータの実用化にも貢献する可能性を秘めています。

以前に、マヨラナ粒子(反粒子と同じ性質をもつ幻の粒子)を発見し、それが量子誤り訂正効果を持つので量子コンピュータにつかえるかも、という話をしました。

マヨラナ粒子も素粒子なので、量子もつれを作って量子テレポーテーションできるよ、とつい最近日本の研究グループが発表しました。

これらから、より量子コンピュータの進化を期待してしまいます。

量子飛躍(または跳躍)というこれまた奇妙なジャンプ現象がありますが、ぜひ2024年は量子技術が飛躍の年になってほしいです。


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