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我々は200歳まで生きられる!?

免疫機能を持った体内のある細胞について、ぐっと目を惹く研究成果が発表されました。

ようは、
T細胞は(宿主である)人間の老化と異なり、最長200歳まで生きる可能性がある、
という話です。

まず、老化というのは特定の反応ではなく、複合的なプロセスです。過去にも少し書いたので主要な論点を書き下しておきます。

1.DNAの損傷とそれによる突然変異
2.テロメアの短縮化
3.たんぱく質の異常
4.エピジェネティックの変化
5.老化細胞の蓄積
6.ミトコンドリアの機能不全
7.神経細胞間のシグナル伝送の問題(メッセンジャー分子)
8.腸内のウイルス・細菌(マイクロバイオーム)などの変化
9.細胞(特に幹細胞)の消耗
10.免疫不全

上記記事

次にT細胞について。

これは免疫機能を持つ細胞のうちエース級の位置づけで、リンパ球の中にあります。

ウイルスやガンなど悪性腫瘍を退治するために、T細胞を改造する取り組みについて過去にも紹介しました。

このT細胞の寿命について調べたところ、宿主(我々)の老化と異なるふるまいを見せました。

そもそも寿命をどう計測するのかですが、樹齢と同じようにある試薬(バイオマーカー)を使うことで、時間経過とともにその印の変化をみて寿命を間接的に計測したようです。

余談ですが、我々の実寿命と別に遺伝子レベルで老化度合いを計測する「老化時計」も研究されているようです。関連記事を載せておきます。

さてこのT細胞の寿命を調べると、通常よりも高い増殖率をみせ、しかもガン化(無限増殖して悪性腫瘍)を回避するような結果が得られたということです。

言われてみれば、ガンを退治する役割の細胞がガンになる、つまりミイラ取りがミイラになってしまうと我々の体は非常に脆くなりそうです。

それが独自の仕組みを持っているとすれば・・・、まさに人体・生命の神秘ですね。

そしてこのメカニズムを解明することが出来れば、通常細胞にも応用できる可能性があります。つまり・・・老化を制御できる可能性が拓けます。

老化制御する魔法の薬については、実際に研究が進められています。過去にも取り上げたので載せておきます。

上記記事内にある「セノリティックス(老化細胞除去薬)」は、老化してしまった細胞をお掃除する役割ですが、今回の発表はそもそも老化させない手段なので画期的です。

自分自身が老いさらばえないように、この研究をマーキングして経過観察していきたいと思います☺

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