宇宙もAIを通じて分散型・自律型のシステムへ
ドローンの世界では、集団で群れを成す「スウォーム」と呼ばれる自律飛行がトレンドになっています。1つ記事を紹介します。
通常は、一人の操縦者が1台のドローンを運転しています。スウォームでは、ドローン同士が制御しあう技術が組み込まれているため、たった一人でも多数のドローンを一度に操縦することが可能になります。例えばこちらの動画をご覧ください。
ちなみに、イベント映えでよく話題になるドローンショーも数千台を同時に動かしています。5/14に行われた大阪万博に向けたドローンショーを1つ載せておきます。
ただ、この場合は個々のドローンに細かく指示を出しているだけで、ドローン同士での自律的な制御は行われていません。
このような分散型自律制御技術は、ドローンよりさらに上空でも花を開こうとしています。
宇宙空間で、ドローンと同じような「スウォーム」のプロトタイプテストが行われました。
ドローンに相当する飛行体は「人工衛星」です。
今の人工衛星は、GNSS(全地球航法衛星システム)の信号から自身の位置を把握しています。ただし、地球周辺しかGNSS信号は使えないので、それに依存すると人工衛星の活動範囲に限りがあります。
そしてもう1つの問題は、宇宙ゴミ(デブリ)です。これと急に遭遇したときに、それを緊急回避するのは人力だと困難です。宇宙デブリは無視できないほどの数が存在しており、参考までに過去の投稿を引用しておきます。
今回の実験では、衛星に視覚機能(カメラ)を設けて、その情報から自身の位置を計測するアルゴリズムを実現しました。
これによって、上記2つの課題を解決することができ、より宇宙開発の可能性が広がります。
NASAが主導しているこの「Starling Mission」について、1年前に造られたイメージ動画があるので共有します。
ちなみに、自律技術はAIの1種とも取れます。衛星に限らず、宇宙開発の範囲が広がることで、人間が都度指示を出さなくても自律的に作業を行う必要性は高まってきます。
実は、上記研究のリーダーも関わる、自律探査を目的とした研究所がスタンフォード大学内にあります。1つ記事を紹介します。
CAESAR(航空宇宙自律研究センター)と呼ばれます。文字通り自律探査を目的とし、まずはAI(機械学習モデル)を開発中で上記も成果の1つです。
もう1つ上記記事で紹介されているのが、「自律ランデブー・トランスフォーマー」と呼ばれる技術です。特に宇宙船の軌道最適を自律的に補正する機能を有しています。
命名にある通り、テキスト生成AIの主要技術ともいえる「トランスフォーマー」を応用しています。
生成AIは地上・空だけでなく宇宙領域でも革命をおこしているというわけですね。
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