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ガイアが星の地震と起源にぐっと近づく

ガイア(GAIA)と聞くと、地球を1つの生命体とみなした考え方として知られています。それを意識したTV番組名のほうが有名かもしれませんね。

その名称を採用した欧州宇宙機関ESAが打ち上げた宇宙望遠鏡GAIAで銀河で想定外の現象をキャッチしました。

要は、
GAIAがとらえた星震という星間の振動現象は従来の天文学の枠組みを超えるかもしれない、
という話です。

まずは上記サイト内の画像と、ESA公式チャンネルの下記映像をぜひ楽しんでください。ほれぼれする美しさです☺

そもそもGAIAは、2013年に打ち上げられて銀河系の恒星位置を光の波長帯域で正確に計測する、要は高精度な3D地図を作ることを目的にしています。

過去何度かまとまったデータを公開し、6/13にその第三弾がリリースされたのが今回のきっかけです。約20億個(!)の恒星カタログが更新されました。

まず、星震(Star Quake)という用語を初めて聞く方も多いと思います。

名称のとおり、星の地震学です。地球も太陽も細かく分析すると固有な振動をしていることが分かっています。
その観測精度が高まってくると、逆に外部の振動から内部の構造を間接的に推計することが出来ます。

今まで知られていたのは放射状でしたが、今回は何千もの星に強い非放射状、さながら巨大津波に見える地震をしました。
引用した上記ESA動画の後半に、目視で分かるほど早回しした映像が見れますが、まさに生命体のような動きです。
今までの理論では起こりえないと思われていただけに、今回の観測結果で新しい星震学が拓かれそうです。

さて、冒頭の記事ではこの星震をフューチャーしてますが、2つ目のESAサイトを覗くともう少し全体の考察があり、個人的にはより興味深い指摘も加えられています。

それは他の銀河の元素組成がより詳細になって、我々の位置する天の川銀河の起源解明に貢献したことです。

宇宙創成はビッグバン(正確にはその前にインフレーション)から始まり、徐々に冷えて水素のような軽い元素が集まって重元素が創られます。(ただし大半はまだ水素のような軽元素)

そして星が死(エネルギーを放射し尽くす)を迎えると、その重元素が星間物質として漂って、他の星に影響を及ぼします。

新しい星は、そういった歴史を積んだ塵や岩が集まって出来るため、その情報はある程度継承されることになります。

これは、生命科学に例えると、星の元素組成は親から子に引き継がれた「DNA」とも言えます。もっといえば、それを探究することが星とその集合としての銀河の起源につながります。

今回の観測で、天の川銀河のいくつかの星が原始的な物質(軽金属)でできているのに対し、我々の太陽のような星はそれよりは重金属で構成されていることがわかりました。
つまり、我々の銀河を構成する星々は、先祖にあたる星から多様な影響を受けて出来上がっているというわけです。

もう少し想像をたくましく言うと、我々の銀河含めて宇宙を構成する星々は、互いに影響を与える1つのダイナミックなシステムともいえるでしょう。

まさにGAIAにふさわしい観測結果だと思います。既にこのデータを元にした発表論文が50以上出ているようです。

しばらくはゴールドラッシュならぬスターラッシュが続くかもしれません。

※タイトル画像Credit:ESA

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