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ヒトの意識はUPLOAD出来るか!?

タイトルだけみるとSFの話に聞こえると思います。

例えば、死後の意識を仮想現実にUPLOADするSF作品「アップロード」も一部では話題です。
上記作品は比較的コメディタッチですが、シリアスな作品だと科学者自身が意識を移植した「トランセンデンス」が有名です。

このように、「意識のUPLOAD」は関心としては高いテーマですが、ついに科学のメスが入ろうとしています。

上記著者の渡辺准教授関連で私がお勧めするのは2つあります。

1つは下記の著作です。著者インタビューサイトも併記しておきます。

もう1つは、上記著作の終章で提案している移植方法を実践すべく、実際に同准教授が技術顧問としても参画しているベンチャー企業「MinD in a Device」の取り組みです。

上記サイト内に、移植への手順が書かれていますが、まずは脳内の、特に大脳新皮質で行われている電気信号の授受を実現する次世代型AIの開発を行っているようです。
ちなみにアルゴリズムは主流ともいえる深層学習の応用です。ようは、ニューラルネットワークの計算を多段階化して学習を豊かにする手法です。
今のAIブームはこのアルゴリズム性能の高さが産業と紐づいた賜物といっても過言ではないです。

実は株主には、日本での深層学習を普及させたAI伝道師ともいえる松尾豊が名を連ねています。

松尾氏は、AIに関する著作を多数出しており、どれもお勧めします。

さて、このAIを通じて実際の生体脳と機械を接合するシステムを開発していますが、主に視覚領域にターゲットを絞って検証をするようです。

その際に意外に厄介なのが、「何をして意識があるとするか?」です。

よくこの領域では「意識のハードプロブレム」として括られますが、意識がどのように生まれるか、という悩ましい問題は依然として未解決です。

この検証では、脳を右・左に分けて、片方から機械が入力・処理したものを主観的に視覚イメージできるか、というやり方を採用しています。

「意識のハードプロブレム」に対して「イージープロブレム」という言葉もあります。これはどのように脳内で処理されているのかを指しており、fMRIなど観測装置の発展で順調にその動きがほぼリアルタイムで解明されようとしています。

そして、おそらくは意識も知的処理を担う大脳新皮質が重要な役割を担う可能性が高く、それについてはいくつか面白い提案がされています。

個人的に注目しているのはジェフ・ホーキンスで過去にも少し取り上げました。

ホーキング氏も、同じように「生成モデル(世界モデルと呼称)」を定義しており、素人目には何となく同じようなコンセプトなのかなと感じます。

まだ意識のハードプロブレムへの克服は決定打には欠けますが、ただ以前は研究すること自体がタブーの風潮もありました。

それが科学的に解明されようとし、そしてMindD社のように産業の世界でも株主を募って取り組みを進めようとしているのは、健全な姿だと思います。

ロマンと現実のバランスはこれからも付きまとってくると思います。
移植成功による不老不死は正直遠慮したいですが、とはいえ個人的にはまずはロマンとして強い関心をもっています。

いずれにせよ、意識のハードプロブレムに対してはこれからも研究が進むと予想されますので、面白いものを見つけ次第こちらでも発信していきます。

まずは、MinD社関係者の皆様に心からエールを送って締めたいと思います。

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