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知能と言葉とのつながりを求めて

今年のノーベル生理学・医学賞は、ゲノム解析で人類の起源を探求した方が受賞しました。

上記内の、”FOXP2遺伝子”が言語能力の発達、ひいては人類の知能を高めた、という仮説は何となくうなづけます。

特に、「言葉を話す」ことは、直感的に知能に関係する気がします。

ただ、「言葉」の起源についてはまだ固まったものはなく、より原始的な表現である「鳴き声」について面白い説が最近唱えられています。

ようは、
鳴き声を持つ鼻呼吸する全ての脊椎動物について、音声コミュニケーションの共通起源が約4億700万年前にあったかもしれない、
という話です。

元々数年前に別の方が同じような研究をしていたのですが、今回さらに丹念に録音時間(密着取材?)をとることで、実はもっと鳴き声を発する脊椎動物があったことがわかりました。
結果として最低4億700年前まで共通祖先はさかのぼれました。

よく、多様な生物が急に生まれた時期で有名なものが「カンブリア紀」と呼ばれ、大体4・5億年前を指し今回の提示した時期に近いです。
つまり、この多様性を獲得したことと鳴き声とのつながりがあるのかもしれません。ここは今後の研究に期待したいところです。

ただそこまで多くの脊椎動物が鳴き声を発するなら、鳴き声だけで言語、そして高度な知能を獲得するという論理は無理が出てきます。

そのミッシングリンクへの1つの仮説が「歌」です。

こんなニュースが最近流れていました。

まず、歌とは「発する音声が連続し、かつ規則性があるもの」と定義します。(ちょっと堅苦しいですね)
この定義に慕うと、脊椎動物では鳥やイルカ、そして霊長類のヒトやテナガザルなど極めて限定的です。

イルカが高い知能を持っているのは、場合によっては言語能力をもっているのではないか?という説は昔からあります。

鳥も実は人間に持っていない能力を持っていることも分かってきています。過去にも投稿したので引用しておきます。

現時点ではこれ以上は想像でしかできませんが、歌うことがコミュニケーションを誘発し、そこから高度な表現そして思考能力を可能にしたのかもしれません。

と安易な書き方をしましたが、ここが実は冷静に見ると論点となります。

なにかというと、言語は「歌などによる音声コミュニケーションから生まれたのか?または思考の必要性からうまれたのか?」という論点です。

以前に視聴したNHKの科学番組「ヒューマニエンス」で、後者の説をとる科学者が、特に「弓矢」の発明過程で言語が生まれた、という説を唱えていました。(#56 “言葉” それがヒトの思考を生んだ」

ようは、「脳内で思考するには言語が必要だ」という主張です。さらに反論として、音声コミュニケーション以外にもジェスチャーという方法もあるぞ、という突込みです。

ここは今度は「思考の定義」がきになりますが、還元すると脳内の電気信号である以上結構その境目は曖昧な気がします。

個人的な意見は思考よりも音声以外も含めた「コミュニケーション」が先立つほうが感覚的にはしっくりしますが、今後「思考」の原理が解明されていくともう少し軍配がどちらかに上がるのかもしれませんね。



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