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NASAの歴史1:創設からアポロ計画立ち上げまで

昨日のアルテミス計画1打ち上げ延期後に、NASAは現地時間30日で公式発表をしましたが、特に昨日投稿した内容以上の差分はなく、次回は早くても9月2日以降のようです。

つなぎと言っては何ですが、アルテミス計画を仕切るNASAについて調べたことを書いていこうと思います。


NASAの創設のきっかけ

NASA(アメリカ航空宇宙局:National Aeronautics and Space Administration)の前身はNACA(アメリカ航空諮問委員会)で、1958年に創設されました。

実は同時にARPA(国防高等研究計画局 :Advanced Research Projects Agency)も創設されており、NASAの機能を担う案もありました。
ちなみに、ARPAは後にインターネットに代表される民間にも知れ渡った技術開発でも知られています。

こういった書き方をすると何となく想像つくと思いますが、NASA創設のきっかけは、当時の敵対国ソ連の「スプートニクショック」です。

1957年10月に、ソ連は人類史上初の衛星スプートニク打ち上げに成功し、世界中でその電波を受信されたことで話題になりました。
当時の貴重な映像は、NHKサイトで今でも見ることが出来ます。予告なしでざわついている様子も当時の時代背景が浮かびます。

実は、米国でも同じ計画は以前より海軍主導で進められていたのですが(ヴァンガード計画)、進捗の遅れや科学研究志向が強いことが当時の大統領には不満だったようです。
そして上記打ち上げ成功の2か月後に、米国も上記計画の流れで初の人工衛星打ち上げを実行したのですが、わずか1m上昇後に爆発してしまい威信を失ってしまいます。

大統領は陸軍にも同計画を指示し、なんとか翌年の1月に二度目のトライで成功します。(エクスプローラー1号

そのカギを握るロケット開発を握っていたのは「フォン・ブラウン」。
第二次世界大戦時にドイツのロケット「V2」開発を担ったキーパーソンで、戦争終了直前に米国に投降し、その後は米国ロケット開発史に名を刻むことになります。


なんとか米国も最低限の威信を保ったものの、大統領は、この顛末でソ連と宇宙の安全保障への危機感を強めました。
ちなみに、当時の大統領はアイゼンハワーで、第二次世界大戦で連合国遠征軍最高司令官を務め、ノルマンディー上陸作戦(D-デイ)を指揮したことでも有名です。(つまりバリバリの軍人あがりです)

こうういった時代背景の下でNASAは創設されたわけです。
普通に考えると、前身のNACA長官がそのまま初代に就任していたはずですが、学術肌が強いことと謙虚すぎるということで外れ(長官代理となります)、いくつか軍人経験のある人物に打診をした結果、産官学に幅広い人脈を持つキース・グレナンが着任します。(結構渋ったようですが・・・)

1961年にジョン・F・ケネディが大統領となった年に二代目長官となったのは、今では宇宙望遠鏡として話題沸騰中の「ジェイムズ・ウェッブ」氏です。いわずもがなですが、宇宙望遠鏡も彼の尽力あってのものです。

実はウェッブ氏は法律の専門で、宇宙や軍事にはあまり土地勘はありませんでした。
ケネディ大統領は、当時の緊張関係にある国際情勢でかじ取りを担うには、政治的な判断力が必要と判断し、彼に就任するよう説得したそうです。

実はケネディ大統領就任時に、ソ連との間で2つの重要な出来事がありました。

1つは、ソ連の宇宙飛行士ガガーリンが史上初の有人宇宙飛行に成功したことです。そのわずか数か月後に米国も成功したものの(アラン・シェパード氏で、今でも民間開発ロケットの名前の由来に)、またしてもソ連に先を越されてしまったわけです。

もう1つが、同年に起こった「ピッグス湾事件」です。

米国に亡命したキューバ人部隊が、キューバ カストロ政権を倒すためキューバ湾に侵攻し(当然裏では米国が支援)、ソ連を後ろ盾とするキューバ軍にわずか3日で撃退されるという出来事がありました。

ケネディは公約にも掲げた米国威信を取り戻すために、ついに人類を月に送る「アポロ計画」を発表することになります。

上記Wikiにも掲載されている、歴史的にも有名な演説文を引用して、今回は締めたいと思います。

まず私は、今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させるという目標の達成に我が国民が取り組むべきと確信しています。この期間のこの宇宙プロジェクト以上に、より強い印象を人類に残すものは存在せず、長きにわたる宇宙探査史においてより重要となるものも存在しないことでしょう。そして、このプロジェクト以上に完遂に困難を伴い費用を要するものもないでしょう。
First, I believe that this nation should commit itself to achieving the goal, before this decade is out, of landing a man on the Moon and returning him safely to the Earth. No single space project in this period will be more impressive to mankind, or more important in the long-range exploration of space; and none will be so difficult or expensive to accomplish.

出所:Wiki「アプロ計画」

名前の由来は、ギリシャ神話の太陽神アポロンにちなんで名づけたもので、その双子の姉が、同じく名前の由来となった「アルテミス」です。

今も状況はやや似ていますが、当時は二大大国の覇権争いのなかで、宇宙開発が一気に進んだともいえます。

タイトル画像Credit:NASA

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