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誤報への対応

マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。

1.ある全国紙の記事のミス

以前、ある新聞紙面に、当社のクライアント企業の記事が掲載されました。それは、地域の業界の動向を特集したもので、全国紙の支局の経済担当A記者が取材してくれた記事でした。地元の有力企業のひとつとして、クライアント企業の名前とK社長のコメントが載っていました。

しかし、このコメント内容は、K社長の意図するところとは全く違った形だったんですね。たった一言のコメントではありましたが、K社長自身、「こんな発言をしたはずはない」というほど、読み方、捉え方によっては企業のイメージを低下させる恐れのあるニュアンスが含まれていたのです。

その件について、K社長が電話で問いただしたところ、取材したA記者も記事の表現の間違いを認め、「訂正記事は出せないが、後日ほかの形で取材して補いたい」と言い、実行してくれました。

2.誤報防止には「正しく伝わるようにする」しかない

本件は、ニュアンスの違いということで「誤報」とまでは言えませんが、こうした、会社側として好ましい記事と異なる出方はよくあることです。明らかに事実関係が違うという場合もありますが、多くは記者の受け止め方による、評価や位置づけの違いなのです。

ですから、トップや広報担当者は取材を受けるときに、記事が会社の意図しない方向にズレないよう、「正しく確実に伝わるようにすること」だけが誤報の防止につながるわけです。

それでも、もし自社に関する記事内容が明らかに間違っていたり、思わぬ方向に曲解して書かれたりしたときにはどうすればよいのでしょうか。

3.記事の訂正は可能?

掲載された記事の訂正が可能かどうかについて、メディアの立場としては次の通りです。

1.固有名詞や数字の重大な間違いなど、明らかに事実関係の誤報は、きちんと指摘してもらえば訂正する(訂正記事を出す)場合もある。
2.しかし、新聞はあくまで第三者機関なので“評価”や“位置づけ”などに関しては一切訂正しない。

たとえ、後日に訂正記事が出たとしても、一度掲載された記事は消すことができません。なので、それは仕方がないこととして、今後間違いが起きないように、企業側で慎重に対応するほうが現実的でしょう。

4.誤報は双方にとって不幸

誤報はないに越したことはありませんが、パブリシティにはつき物です。誤報は企業側も痛いですが、記者にとっても大きな失点になりますので、記者のほうこそ間違った記事は絶対出したくないのです。

記事の間違いを見つけたら、クレームの電話を入れる前に、まずは自分の伝え方が間違っていなかったかをよく考えてみるべきでしょう。記事は、伝える側と書く側の共同作品ですが、伝える側の企業のほうがより多くの責任を持つべきだと思います。

間違いのないように確認したか?
間違いやすい内容は念を押したか?
「このように表現して欲しい」という意図をきちんと伝えたか?
など、反省・検証の材料として今後に生かしましょう

5.災い転じて福となす

人に真意を伝えるにはそれだけ神経を使って、相手の理解度に合わせて話しを進めるように心がけなくてはなりません。これがコミュニケーションの基本です。

誤報があったとき、その事実を記者に知らせることは大切です。泣き寝入りする必要はありません。でもその際、一方的に記者を責めるのではなく、こちらの伝え方にも問題があったことを認めて、今後お互いに気をつけようと確認し合うことです。それによって、記者との人間関係がより深まることもありますし、それ以降強力なサポーターとして良い記事をより多く書こうとしてくれる可能性も高いのです。

誤報があったら、起きた事実を消そうとするより「災い転じて福となす」の気持ちで対応することがベストだと思います。

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