「体験できる」は強い
マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営16年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.取材先の決め手は「体験」
今日は、テレビ番組、特に報道番組や情報番組の制作者たちが取材先を決める判断基準はどこにあるのか、という話を、あるテレビ局の番組制作ディレクターさんからの受け売りでお伝えしたいと思います。
最大のポイントは「体験レポートができるか?」ということだそうです。
一般的にテレビの「情報番組」や「ワイドショー番組」の場合、それぞれのコーナーに専属のレポーター(アナウンサー、芸人など)がいて、その人たちの「体験」を通じて、視聴者に情報を伝えています。
コロナ禍でなかなか体験レポート的な場面づくりが難しくなっていますが、「体験」があるのとないのとでは、視聴者に伝わるインパクトに大きな差がでます。
2.臨場感ある映像と具体的な情報
旅番組なら、レポーター役のタレントが現地を訪ね、温泉に入ったり遊園地で遊んだりしてその感想をレポートする。食べ物なら、レポーターがお店や工場を訪ねて製造現場をレポートしたあとで試食。その後スタジオに料理を運び入れ出演者が味見して「おいしい!」などとコメントするのが普通です。
なぜ“体験”が大事なのか。それは、新商品やサービスをただ撮影してアナウンサーがナレーションで説明するより、レポーターの驚きの声やリアクションを見せるほうが、映像に臨場感が出て、より具体的で信頼度の高い情報として受け止められるからです。
3.放送後のトラブル回避にも
情報を発信する企業側からしても、体験取材には利点があります。
レポーターが体験できるということは、安全面やサービス面で一定の基準をクリアしている証になります。つまり、安心して人から人へも伝えることができる情報であるということ。その結果、放送後にトラブルが発生するリスクも最小限に抑えられるわけですね。
ですから、大手企業の広報では新商品やサービスの発売に先立ち、報道陣を集めて実際に体験をしてもらう機会を設けることが多くなっています。新型車の発売ならレポーターが自らハンドルを握って運転のしやすさや安全装置の効果を確かめて、その実感を伝える。新しいレジャー施設のオープンなら、目玉アトラクションの楽しみ方などをレポート形式で伝えたりします。
中小企業の場合でも、単に新商品の概要を書いたプレスリリースをメディアに配布するだけでなく、事前にメディアの方に体験してもらえる機会を設けることを検討してみる価値はあります。食べ物やちょっとしたアイデアグッズなど単価の安いものは、直接サンプルをお届けして使ってみてもらうのもおすすめです。
記者や制作担当者も、文字や写真だけのプレスリリースより、実際に現物を手に取って初めてその良さを理解でき、視聴者に知らせたいという気が湧いてくるケースが多いからです。
4.実際に視聴者(=消費者)が体験できること
次に大切なのは、視聴者の大多数を占める「一般の方々」が、実際にその場所に行ったり、商品やサービスを買ったり、使ったりできるものであること。いくら体験取材でレポーターがその魅力を伝えても、万人に関わりがなくては視聴者の興味を引くことはできません。
毎日のオンエアに間に合わせるために、時間との勝負を強いられるテレビ制作者は「リポーターが体験できる」=「取材しやすい」という考えが染み付いています。そこで、①リポーターが体験できる、②視聴者も利用できる、③動きのある映像が撮れる。この3つが重なっていると、テレビ制作者にとって非常に仕事がしやすい内容となるわけです。
夜遅くの時間帯で成功しているビジネス情報番組「ワールドビジネスサテライト」は上記の最たるものといえます。
皆様の会社でも、新商品やサービスをテレビでPRしたいと思うときは、「この商品・サービスを○○テレビのレポーターにこうして食べて(使って)もらって、こんなコメントをもらいたい」というシナリオを頭に描きながらPR作戦を練っていただきたいと思います。
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