未来をつくる会社のビジョン03【B Corp認証】Patagonia ・ovgo・Kuradashi
経営アジェンダのひとつとして、サスティナブル、社会的・環境的責任といったキーワードが挙げている企業が多くなっています。持続可能な社会づくりへの貢献は、単なる企業の義務を超え、消費者にとっても重要な価値観になっています。特にZ世代は、製品やサービスを選択する際、環境に対する意識の高く地球の将来を見据えつつ、自分たちの価値観に合致し、持続可能な未来に向けて積極的に貢献する企業を支持する傾向が強いようです。(データなどはいろいろなソースがあると思うので本記事では割愛します)
そこで、この記事ではB Corp認証を取得している企業の中から、代表的な企業であるパタゴニア、そして日本から、ovgo Baker、Kuradashiのビジョンを紹介していきます。これらの企業がどのようなビジョンを持ち、持続可能な世界に貢献しようとしているのかを確認していきましょう。
B Corp認証とは
まず、B Corp認証についておさらいです。B Corp認証とは、企業の社会的及び環境的なパフォーマンスを測定する国際認証です。これは企業が利益追求のみならず、より良い社会の実現に向けて積極的な役割を果たすことを促します。B Corp認証を取得する企業は、高い倫理観と透明性を持ち、地球および社会に対するポジティブな影響を発揮することが求められています。また、取得するためには厳しい審査基準をクリアする必要があります。
01.「Make Business a Force For Good」:B Lab
ちなみに、B Corp認証を運営するB Labは、明確にビジョンと定義されている言葉は見つかりませんでしたが、トップページにあるこの言葉が近い位置づけになると思います。
Vision -ビジョン
また、”There's no Planet B.(プラネットBなんてない) "という地球の代替なんて存在しないといった強い言葉にも心を動かされますね。では、Bcorp認証を取得している企業のビジョンを確認していきましょう。
02.「地球が私たちの唯一の株主」:patagonia
パタゴニアは、アウトドア業界では先駆者として知られ、環境保護に真摯に取り組む企業です。製品のライフサイクル全体に責任を持ち、環境的フットプリントの最小化を目指しています。個人的にずっと好きな企業であり、僕の服の8割はパタゴニアですw ブラックフライデーの「Don’t Buy This Jacket 購入しないでください」という広告や、1985年から収益に関わらず売上高の1%を自然環境の保護のために環境団体に直接寄付する、などビジョンに対する行動がともなっている非常にかっこいい企業です。
Vision -ビジョン
パタゴニアにも、明確にビジョンと定義されている言葉は見つかりませんでしたが、イヴォン・シュイナードの手紙とされる「地球が私たちの唯一の株主」という言葉がグッときます。
ちなみに、日経新聞の記事にもある通り、イヴォン・シュイナードは2023年9月に”本人と家族で保有していた同社の発行済み株式のすべてを環境NPOなどに寄付し”ています。その価値は、30億ドル(約4300億円)に相当するそうです。パタゴニアのコアバリューにもあるように、従来のやり方にとらわれない (Not Bound by Convention) 、自分のやり方で実行しているのです。
僕的なポイント
まあ、好きの一言ですね。パタゴニアは。
03.「Doing Good Tastes So Good」:ovgo
ovgoは「おいしさはもちろんのこと、環境にも“私たちの大切な未来”にも優しいものを食べる。そんな思いやりのある行動が当たり前になることを願って」つくられたovgoB.a.k.e.rというアメリカンヴィーガンクッキーを製造/販売する企業です。アメリカンヴィーガンクッキーですが、日本のスタートアップ企業です。(この記事書くまでアメリカの企業だと思っていたのは内緒です)みなさんも食べたことがあるかもしれませんね。僕も好きなコーヒー屋さんで扱っているので、ヴィーガンではないですが時々食べています。本当に美味しい。
Vision -ビジョン
ovgoはビジョンではないのですがコアバリューとして定義されている「Doing Good Tastes So Good」を紹介させていただきます。
僕的なポイント
こちらもパタゴニアと同様に、創業者の思いが綴られています。”人感”を感じられて非常に好感がもてました。地球環境だけではなく、どんな人であっても笑顔になってほしい、そんな想いがポップに表現されていて、環境を大切にする際にありがちな頑張っている感やハードルを感じさせなくていいなーって思います。
ちなみに、株式会社ovgoは2023年1月にESG投資ファンドなどから資金調達をしています。そのすぐあとにBcorp認証も取得しているので資金調達との関係も気になりますね。
ちなみに2ですが、めちゃめちゃ伝わる「Friendly Handbook」がサイトにありました。ovgoの考え方や雰囲気が感じられ、すごく好きになってしまいます。
https://cdn.shopify.com/s/files/1/0605/2262/7251/files/4b892f23e7e2b14eb7a8f09f77b4932e.pdf
04.「日本で最もフードロスを削減する会社」:Kuradashi
Kuradashiは、食品ロス削減に貢献するベンチャー企業です。余剰在庫となった食品を消費者に直接届けることで、食品廃棄を減らし、サステナブルな消費への意識改革を促しています。また、売上の一部は社会貢献団体への寄付やクラダシ基金の一部として活用されており、事業を超えた社会に貢献していこうと実際に行動しているのは非常に素敵ですね。
僕的なポイント
Kuradashiのビジョンは、課題とやるべきことが明確に定義されており、社員とっても目指すべき方向性がわかりやすく、企業としての一体感が出るよいビジョンであると感じました。事業とビジョンが一致しているよい事例だと思います。また、Valueについてはパタゴニアと同じように「前例を創ろう」という自分たちで考え抜いたやり方で新しいことを実現していこうという強い意志が感じます。
ちなみに、KuradashiはNEWhのビジネスデザイナー堀がVDSをつかって分析をしているのでもし興味があればぜひ。
まとめというか感想
Bcorp認証企業のビジョンを確認してみましたが、どのビジョンも優しく人感を感じました。一方、行動指針であるValueは非常に力強く、前例主義ではなく、自分たちで考え抜いて最適なやり方で、よりよい社会を実現していくのだという強い意志を感じます。また、ビジョンやバリューを掲げるだけではなくきちんと責任を持ち行動が伴っている点も人を惹きつける大きなポイントになっていますね。そして、ポスト資本主義、といったら大げさかもしれませんが、人々が金銭以外の何かに価値を感じて行動するようになると、選ばれるのはこういった企業なのだろうなーって思いました。
最後に、そんなことを思っていたら思い出した記事。VCの儀式に対する課題意識と新しい提案。そして、ポスト資本主義が労働市場から起こるという考えが書かれているのですが、本当におもしろいのでおすすめです。本記事との関わりでいうと、下記のあたりですね。
ではまた。
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