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Business Design Magazine

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ビジネスデザイン・新規事業開発領域で働く方に向けて、NEWhメンバーが日頃の業務で得た気づき・発見・学びをお届けします。
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記事一覧

事業開発の色々な論点を構造化・図解してみた。[Part3]

こんにちわ。NEWh堀です。 これまで2度、構造化・図解してみたシリーズをnoteで書いてみてきたのですが、今回はその3回目。まだまだ論点はいっぱいある。 これまでと同様、 事業開発領域における色々な論点の構造を1枚のスライドに落とし、X上で発信している内容から一部を、ピックアップし紹介をしてみました。 part1と、part2記事はこちら。 「問題」と「課題」とは。の図解。 一つ目はこちら。事業開発シーンで最頻出ワードかもしれない課題。でもそもそも課題ってなんだ、問

生成AIが広げる専門職ジュニア層とシニア層の距離 − AI時代にどう強いチームを作るか

こんにちは、NEWhでBusiness Designerをやっている飯野です。 NEWhでは、Business Designerが持ち回りで毎週Business Designに関する記事を更新しています。私もその仲間になりましたので、早速記事をかくぞーーーーーという気持ちです! いままでのマガジンは下記から読めますので、ぜひご覧になってください。 さて。みなさんも察するところかと思いますが、「ビジネスデザイン」と言ってもスコープが非常に広く、何を書くか正直迷うところ。 と

生成AIは人材育成の敵か、味方か? ─ 新事業開発での活用から見えてきたこと

はじめに:AIと人材育成に関する一般的な懸念生成AIの急速な進化により、ビジネスの様々な場面でAIの活用が進んでいます。しかし、その一方で「AIが人間の仕事を奪うのではないか」「若手社員の下積み業務が代替されて、成長機会が失われるのではないか」という懸念の声も多く聞かれます。私も当初は、人材の育成には一定レベルの経験量が必要であるという考えから、これらの懸念に同意していました。しかし、現在は新事業開発やnoteの記事作成で生成AIを積極的に活用してきた経験を通じて、この考えは

ビジネス成功のカギを握る外的要因「カタリスト」とは何か?

はじめにこんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 ここ20年から30年の間で創業し、急成長を遂げた企業の成功要因には、革新的な技術やユニークなサービスアイデア、圧倒的な事業投資規模など、様々な要因がありますが、そのうちのひとつに、彼らが「カタリスト=事業成長や市場拡大を促進する外部要因やトリガー」を捉えていたことも、共通点のひとつです。 成功のストーリーとして語られるのは、往々にして創業者や企業が持つ「内的な要因」に偏りがちですが、今回は急成長企業がいか

売上獲得の源泉「回収エンジン」の3類型

収益モデルの構成要素 こんにちわ。NEWh 堀です。 今回は売上獲得の源泉をどこに据えるのかと向き合う「回収エンジン」というものと向き合ってみました。 事業における収入側の構造は「収益モデル」は「回収エンジン」と「料金モデル」によって規定される。 つまりは、 「何を売上獲得の源泉」とし、「どのようにして対価を回収するのか。」 この2つの構成要素のうち、料金モデルについては、前回こちらの記事でもちょっと書いてみた。 今回はもう一つの要素である「回収エンジン」について考え

創造的活動の3ステップと生成AIとのコラボレーションスキル┃1.設計する

大企業の新事業開発プロセスにおいて、生成AIの影響は非常に大きいと感じています。NEWhでは、従来、プロジェクトのキックオフから事業機会を定義するまでに2〜3ヶ月程度かかっていましたが、最近では2週間で完了した事例も出てきています。これは生成AIの力がなければ不可能だったと思います。 しかし、ビジネスデザイナーやコンサルタントの中には、生成AIに対する知見や理解度にばらつきがあるのが現状です。中には事業開発での活用に懐疑的な人もいるかもしれません。一方で、私自身は生成AIを

非営利ビジネスを成立させる必須条件は何か?

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 日頃私たちが多く目にする新規事業は、顧客の課題をユニークな価値をもって解決し、その対価を得ることで収益を上げる純粋なビジネスの形態ですが、近年では社会課題解決を目的としたソーシャルビジネスや、事業収入が主な収入源となっている事業型NPOなど、新しい新規事業の在り方も確立されてきました。 そこで今回は新規事業を「営利」以外の面から成功させるための条件について、今回は公益財団法人である日本デザイン振興会主催で、実に6

採算性とは何か。「儲かるか」とどう向き合うか。

こんにちわ。NEWh ほりです。 今回のテーマは「採算性」。つまりは、「儲かるのか?」。 採算性とは。 採算性という言葉を辞書で調べると”利益が出るかどうか、収支のつり合い”と表現されている通り、事業活動を行うためのインプットである「コスト」を上回るアウトプット「売上」を産み出すことができるかどうか、つまりは”収支のバランス”のこと。 "採算性"という領域においては、まさにこの"バランス"と向き合うわけだけど、インプットとアウトプットとなる売上とコストには、それぞれ特性の

新事業成功の鍵を握る"Why now"‐大企業が間違いがちな市場選択の基準‐

大企業の新事業開発において市場を選択する際には、"Why now"と"Why us"という2つの重要な問いを考慮する必要があります。"Why now"は、なぜ今その事業に取り組むべきなのかを問い、市場のニーズ、技術の進歩、社会の変化などを踏まえた適切なタイミングでの事業化を重視します。一方、"Why us"は、なぜ自社がその事業を行うべきかを問い、自社の強みや独自性、競合優位性を明確にすることを重視します。 これらの問いは密接に関連しています。"Why us"の問いに答える

グローバルバーティカルSaaSのトレンド:社会構造の変化を捉え、事業機会を発見する方法

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は欧米を中心に、特に近年で創業されたバーティカルSaaSをピックアップしながら、そのサービスの特徴や既存のサービスが数多く存在するなかで、創業者はどこに事業機会を見出したのか、その背景も含めてみていきたいと思います。 新規事業のシードアイデア創出や、ビジネスモデルのブラッシュアップのヒントになれば幸いです。 ピックアップしたバーティカルSaaS今回はアメリカを中心に、3つの狙いから特にここ5~6年で創業した

[Part2]事業開発の色々な論点を構造化・図解してみた。

こんにちわ。NEWh堀です。 前回の記事では、 事業開発領域における色々な論点の構造を1枚のスライドに落とし、X上で発信している内容から一部を、ピックアップし紹介をしてみました。 前回記事はこちら。 実は、まだまだ色々と発信していたものはあったりするので、 今回はPart2ということで、またいくつかピックアップし、紹介してみます。 競合優位性とは何か。の図解。 まずはこちら。競合優位性とは。 事業開発の中だと必ず論点に上がるテーマ。ポジショニング・マップで立ち位置や優

国内上場SaaS企業の分析から導き出す、大企業の新事業が3年で売上100億円を達成するためのポイント

大企業の新事業を支援していると、3年で売上100億円という目標がよく掲げられています。さらに、デジタルを活用したプロダクトを開発するため、デザイン思考やリーンスタートアップを実践して、顧客課題から考えたいという要件もあったりなかったり。そこで今回は「この目標と要件は現実的なの?」ということを、SaaSビジネスのグローバルトレンドや国内上場SaaS企業の現状を分析しながら考えていきたいと思います。さらに、3年で売上100億円を達成するための戦略の方向性と重要なポイントを絞り出し

生成AIが変える新事業開発のプロセスと求められるスキル

生成AIの登場により、新事業開発のプロセスが大きく変わろうとしています。ChatGPT、Claude、Perplexity、Stable Diffusion、Createなどの生成AIは、膨大なデータを学習して、瞬時に「正解」を生み出すことができます。文章作成やデザイン、コーディングなど、様々な分野ですでに実用レベルに達しており、アイデアの創出から事業計画の策定、プロトタイピングなど、新事業開発のすべての工程を自動化できる可能性があります。私が所属しているNEWhでも生成AI

【IPO達成には理由がある】気になるスタートアップのキモ解説:ジンジブ(高卒就職支援サービス)‐後編‐

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は創業に至る背景や事業機会をどのように捉えたのかを考察した前編に続いて、3月22日に東証グロース市場へ上場された、高校生の就職を支援するというユニークなサービスに特化した株式会社ジンジブをケースとして、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら、サービスの特徴や強み、競合環境や今後の課題についても深掘りしてみたいと思います。企業内の新規事業の担当者、起業を考