人にやさしく 後編
正論を正論のままぶつけるのが正論か。
真面目な人ほど逃げ道がないと、正論をぶつけると悩んでしまう。
私なんか、いい加減だから
「お前の声は、舞台では通用しない。」
と言われても、
「お前に何がわかる、やってみなきゃわからないじゃないか。」
と思って続けていた。
実際は、正論だったとは思うが。
「お前の声は、舞台では通用しない。でも、映像なら何とかなるかな。」
とか、逃げ道が欲しかった。
その道でやっていこうという若者には、残酷である。
正論を言うのが優しさか?
才能ない人間に、「才能ありませんよ。」というのが、優しさか?
早めに見切りをつけることを促すことも重要である。
だが、その人が才能ないと思っていても、別の人から見たら才能があるかもしれない。
正解がないのが、答え。
「舞台では食えない。」
そのあとに言ってあげれば良かった。20年前に。
「でも、続けることが大切なんだよ。」と。
続けられるうちは、続けよう。
舞台も文章も。
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