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思い出の味

小学生の頃、両親は共働きだったので

土曜の昼は、近所の朝日屋という、うどん屋からの出前と決まっていた。

そこの、かつ丼の味が未だに忘れられない。

かつは、肉厚ではなく、ペラペラの肉。

玉ねぎなども入っていなく、卵と出汁のみ。

これが楽しみで、土曜日の昼は、急いで学校から帰って来た。

冬は、こたつに入れてくれていて、温かいものを食べられた。

シンプルだけど、飽きない味。

これを毎週食べていた。

盲腸で、1週間ほど入院した時

両親に「何が食べたい?」と聞かれたが、

私は「朝日屋のかつ丼」

と答えた。

朝日屋の主人に、その事を両親が伝えたところ、

大層喜んでくれてたらしい。 

そんな朝日屋も、30年ほど前に

区画整理により、なくなってしまった。

なくなることを聞かされた時は、ショックだった。

今でも、1番美味しい、かつ丼である。

究極のかつ丼を見つけるまでずっと探し続け

階級上げの日々は、続くのであった。

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