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セッション定番曲その20:The Rose by Bette Midler

女性シンガー向きの定番曲。ゆったりとしたバラードで、いわゆる「聴かせる曲」です。歌唱力だけでなく、声の魅力そのものが求められる、ハードルの高い曲ですが・・・
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:歌詞の意味

「愛」についての解釈の歌。
3番まで歌詞があるのですが、一番最後のコーラスまで滔々と「愛の難しさ」「愛することの困難さ」について歌っていて、途中に少し「愛は花で、あなたはまだ種」とヒントを出しています。

で一番最後のコーラスで春に蕾が花咲く希望を示して終わる、と。

比喩も分かり易く直接的なものなので、それを届けるようにハッキリと歌う必要があります。その辺りが、歌詞がちゃんと聞こえなくても成り立つロック系の曲とは違うところ。誰もが一度は聴いたことのある有名曲で歌詞も耳馴染みのあるものなので、歌う人はもう一度歌詞の意味を再確認して、どういうメッセージを届けるのか、自覚的に歌いましょう。

ポイント2:薔薇の花言葉

実際には「色」や「本数」で意味が全然変わってくるので一概には言えませんが、イメージの強い「赤い薔薇」だとやはり「強い愛情」「あなたを愛しています」「告白」というもの。まさにという感じですね。

歌う時にこの薔薇を具体的にイメージして、もしそのイメージを聞き手に伝えられたら素敵ですよね。「ああこの人は今『赤い薔薇』をイメージして歌っているな」と。

素晴らしい歌を聴くと、言葉が具体的なビジュアルとなって浮かんでくることが稀にあります。そういう奇跡を数多く体験したいですね。

ポイント3:Some say love, it is a river

いきなり「love」と「river」という発音の難しい言葉が出てきます。実はこの「love」の発音が一番難しいんじゃないかと思っています。日本に来た米国人が「日本人ってなんか擦ってばかりいるのは何故?」と思ったという笑い話があります。「love」のつもりで「rub」と歌っていたんですね。(rub=擦る、摩擦する)

ちょうどいいので「L」と「R」を意識してこのパートを歌ってみましょう。「love」は「ラブ」とは違って明るい音ではなく少しこもったような音です。両方の単語に出てくる「V」音も意識してちゃんと出しましょう。ここが「B」音になってしまうと意味が変わってしまいます。

ポイント4:Some say love, it is a razor, That leaves your soul to bleed

ここの表現は激しいですね。「愛はカミソリ」だと。その鋭い刃であなたの魂を傷付けてしまう、と。その血を流すような痛みをいかに歌うか。だからこそ「razor」を正しく発音して、その鋭さを伝えたいですね。

ポイント4:韻を踏む

ここでは2つのパートで同じ脚韻が連続して使われていますね。太字部分が似た発音になっていて一定のリズムを生み出しています。

Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed

Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you its only seed

ラッパー達が即興で踏む韻を、ここではしっかりと作り込んで味わい深い歌詞に仕立て上げています。

他にも

It’s the heart afraid of breaking
That never learns to dance
It’s the dream afraid of waking
That never takes the chance

When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong

の箇所も一行置きに韻を踏んでいますね。こうすることで歯切れが良くなるし、聴き手には連続したイメージが浮かび易くなるんだろうと思います。

隠し味みたいなもので、あまり露骨に強調すると歌の場合はダサくなってしまうので、いかに歯切れよく歌うか、ですね。

ポイント5:愛を求める人

この歌は「愛を求め続ける人」に向けて歌われています。

When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong

寂しくてたまらない夜、永遠とも思える道のり。
「愛」なんて運が良くて心が強い人のもので、自分には縁が無いと思ってしまう・・・
ここは一番最後のコーラスで示す「希望」と対照的な「絶望」の描写の箇所で、ここの説得力があるからこそ一番最後のコーラスが生きる訳です。歌に痛みがあるからこそ、聴き手に届くパートですね。

ポイント6:季節は冬から春へ

Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed
that with the sun’s love
In the spring becomes the rose

このパートは前半で「耐え忍ぶ」様子を歌い、後半では春の日差しと暖かさを表現する必要があります。全体を通して「愛の難しさ」を歌ってきて、ここでようやく「それに耐えることが出来るあなた」「咲く薔薇」で希望を歌って終わります。言ってみれば陳腐な比喩/表現ではありますが、なんか演歌っぽくならず、詩的に歌いたい曲ですね。ここまで説明してきたように聴き手の感情を揺さぶるポイントがいくつかありますが、そこをどうメリハリを付けて表現するかが歌う人の個性だと思います。

ポイント7:The Rose

同名の映画でベット・ミドラーが主演した作品の主題歌です。主人公はジャニス・ジョプリンをモデルにしたとも言われていましたが、実際に映画を観た感じではかなり性格設定も違う印象ではありました。ベット・ミドラーはジャニスのような激唱型の歌手ではなくて、もっとおおらかに余裕を持って歌うタイプの歌手。米国の国民的歌手として息の長い活動をしていますね。

もともとはこの映画の為に書かれた曲ではなくて、プロデューサーが数多くの候補曲の中から見つけ出したもののようです。

ポイント8:どうアレンジするか

内容的にもバラードでしっとりと歌うのが相応しい曲なので、大幅にいじるのは難しいのですが、セッションイベントで歌うのなら単に原曲の再現を狙うのではなくて、少し工夫したいですね。BPMが63ぐらいのゆったりした曲ですが、テンポを少し変えてみるのもアリかもしれません。思い切って原曲よりもゆっくりと歌ってみると「濃い」「粘っこい」感じになるかも。少しテンポを上げると「熱唱型」の歌にもなりますね、ロック系の歌い手さんならそれかな。

バサノバにアレンジしたカバーもありますが、ちょっと前半からハッピーな感じになり過ぎるかも。ちなみに私はレゲエで歌っていますが、これもテンポに気をつけないと脳天気になり過ぎちゃいますwww

尚、ストレートに歌い切ってしまうと、うまく終われない場合があるので、一番最後のコーラスは繰り返して、最後は合図を出してリットして終わるとセッションイベントでもうまく終われます。

手嶌葵

Westlife

LeAnn Rimes


■歌詞

Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed

Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you its only seed

It’s the heart afraid of breaking
That never learns to dance
It’s the dream afraid of waking
That never takes the chance

It’s the one who won’t be taken
Who cannot seem to give
And the soul afraid of dyin’
That never learns to live

When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong

Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun’s love
In the spring becomes the rose



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