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コンサートレビュー

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#マーラー

木を見て森を見ず 高関健/シティフィルのマーラー交響曲第5番

木を見て森を見ず 高関健/シティフィルのマーラー交響曲第5番

オペラシティコンサートホールで、東京シティフィル定期を聴いた。

シベリウス:交響詩「タピオラ」 作品112
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

指揮:高関健
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

20世紀を代表する迷指揮者であり名評論家である宇野功芳の造語に「体臭」がある。

使い方はこんな感じ。

バッハよりカザルスの体臭を感じさせる(指揮作品に関して)。

モーツァルトよりバーン

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途中で帰りたくなった佐渡裕/新日本フィルのマーラー交響曲第4番「ブレス付き」

途中で帰りたくなった佐渡裕/新日本フィルのマーラー交響曲第4番「ブレス付き」

1月19日、サントリーホールで、新日本フィル定期を聴いた。

武満徹:系図ー若い人たちのための音楽詩ー
マーラー:交響曲第4番 ト長調

指揮:佐渡裕
朗読:白鳥玉季
アコーディオン:御喜美江
ソプラノ:石橋栄実

あのですね、ある意味こんなひどいコンサートはなかなか出会ったことがない😂

終始、佐渡裕のブレス音がうるさすぎ😓

最初、鼻息の音かと思ったけど、鼻息の音にしては大きすぎる。
口を

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祈りの彫像 カーチュン・ウォン/日本フィルのマーラー交響曲第3番(2日目)

祈りの彫像 カーチュン・ウォン/日本フィルのマーラー交響曲第3番(2日目)

昨日に引き続いて……😅

マーラー:交響曲第3番 ニ短調

指揮:カーチュン・ウォン
メゾ・ソプラノ:山下牧子
女声合唱:harmonia ensemble
児童合唱:東京少年少女合唱隊

2日続けて同プロは朝比奈以来かしら😅

昨日の感想はこちら。

大好きなマラ3を大好きなカーチュンで聴けるのだから……🥹

今回は障害割がお得な日本フィルならではの試みをしてみた。

昨日はRAで、今日は

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何かすごいものを見た カーチュン・ウォン/日本フィルのマーラー交響曲第3番(1日目)

何かすごいものを見た カーチュン・ウォン/日本フィルのマーラー交響曲第3番(1日目)

サントリーホールで、カーチュン・ウォンの日本フィル首席指揮者就任披露演奏会を聴いた。

マーラー:交響曲第3番 ニ短調

指揮:カーチュン・ウォン
メゾ・ソプラノ:山下牧子
女声合唱:harmonia ensemble
児童合唱:東京少年少女合唱隊

いつもは帰りの電車で大方の文章を書いて帰宅してから推敲して載せるのだが、ホットな気持ちで感想を書きたいのでカラヤン広場で書いて帰ります😅

いやは

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“現代のマーラー”久石譲のマーラーに感じた失望

“現代のマーラー”久石譲のマーラーに感じた失望

サントリーホールで新日本フィル定期を聴いてきた。

久石譲: Adagio for 2 Harps and Strings(世界初演新作)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

指揮:久石譲

このコンサートはとても楽しみにしていた。私は久石さんを勝手に「現代のマーラー」と呼んでいる。作曲も指揮もする人は多いが、サロネンやスクロヴァチェフスキは「作曲もする指揮者」だし、ペンデレツキやオリヴァー・ナッ

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まるでこの世の終わりのような鐘の音 高関健のマーラー7番

まるでこの世の終わりのような鐘の音 高関健のマーラー7番

ノーノ:『2)進むべき道はない、だが進まねばならない…アンドレ・タルコフスキー』 7つのグループのための
[サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ No. 8委嘱作品(1987年11月28日世界初演 指揮:高関健、東京都交響楽団)]

マーラー:交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」

指揮:高関健
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

高関健を聴くのは3回目。シティフィルとの「わが祖国」、マーラー9番

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ノット/東響のマーラー5番を聴いて考えた最近のソロカーテンコールの多さ

ノット/東響のマーラー5番を聴いて考えた最近のソロカーテンコールの多さ

今宵の感想

チェリビダッケは言った。

「悪いオーケストラはいない。悪い指揮者がいるだけだ」

「弘法筆を選ばず」ということわざもある。

本当だろうか?と今日のコンサートを聴いて思ってしまった。

ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)
ベルク:七つの初期の歌
マーラー:交響曲第5番

指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:ユリア・クライター
管弦楽:東京交響楽団

前半はよかった。

ただ、隣のおっ

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私が音楽に望むものと対極のもの マケラ/都響の「悲劇的」

私が音楽に望むものと対極のもの マケラ/都響の「悲劇的」

冒頭30秒で帰りたいと思った。

誇張ではない。

Pブロックで聴いていて、低弦が豪快に鳴り始めたが、マーラーの肝とも言えるその冒頭主題が「スター・ウォーズ」のテーマのようにキラキラして聴こえたからだ。

おまけにマケラは終始ニコニコ。
何が楽しいの?と文句を言いたくなるが、理由がわかった。

彼がなぜスコアをめくりながら指揮するか。

マケラにとってオーケストラの指揮はパソコンゲームなのである。

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「超一流」ゆえの贅沢な不満 エッシェンバッハ/N響のマーラー第5番

「超一流」ゆえの贅沢な不満 エッシェンバッハ/N響のマーラー第5番

東京芸術劇場のN響定期に行くのは初めて。
なんか新鮮。

会場は満席! エッシェンバッハだから?

まあ、ウィーン・フィルにも定期的に客演してる超一流だもんなぁ。

「超一流」の捉え方って人それぞれですけど、好みを度外視して現在の大巨匠たちを挙げるなら、メータ、ムーティ、バレンボイム、シャイー、ラトル。
エッシェンバッハはそのラインナップ上にいるんじゃないですかね。

ブロムシュテットはややローカ

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名指揮者が育てるもの 高関健/シティフィルのマーラー9番

名指揮者が育てるもの 高関健/シティフィルのマーラー9番

今日は14時からオペラシティで、高関健/シティフィルのマーラーの交響曲第9番のコンサートを聴いてきました。

高関さんは楽譜を緻密に分析して丁寧に音楽作りをされる方なので、マーラーの9番も新鮮に聴かせてくれる予感がありました。
いわば、絵画修復士みたいなものです。長年の埃を払って、原画の瑞々しい発色を蘇らせてくれるのです。

第一楽章から期待を上回る出来栄えでした。コンサートマスターの戸澤哲夫さん

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