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学生服リユースショップさくらや研究【学生服×SDGs編その2】

 さまざまな背景を持った家庭が「さくらや」に来店するようになり、馬場さんは学生服を通じて何かできないかと考えていました。まずはお店でできることから始めようということで動き出します。

まずは店舗でのイベントの開催から

 さくらや1号店がある高松のような地方都市でも核家族が増え、隣に誰が住んでいるのか分からず、近所付き合いも減っています。そうした中で、子どもたちが地域で高齢者や障がい者に接する機会も少なくなっているのではないかと馬場さんは言います。小さい頃から地域で高齢者や障害者と普通に接することがあれば、大人になっても意識することができ、そうして培われた助け合いの精神は地域コミュニティを持続していく上でも必要なのではないかと考えていたそうです。

 また、馬場さんは「さくらや」でお客さんと話す中で、子ども達の積極性や自己肯定感がなくなってきているという話題をよく聞くようになりました。

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 そこで、「さくらや」が定休日の日曜日に、店舗とその隣の事務所を活用して子ども向けのワークショップを試みたそうです。お客さんやスタッフの子どもたち、ハンディのある子もない子も一堂に会しての開催です。参加した子どもたちが自然と仲良くなり、お互いを理解し合いながら作業が困難な子どもを手伝うといった行動を大人が助言しなくてもするようになっていたのが印象的だったそうです。

 馬場さんがそうしたイベントを続けていくうちに、お店の噂が広がって集客にも繋がりました。これは予期せぬ効果だったそうです。それを機に、派手なイベントではなくても、無理せず続けられる小さなイベントを行うようになりました。子どもたちと一緒にピザを作りながら、材料の野菜についてお互いに討論してみたり。関わる大人たちも「次は何をしようか」と楽しみながらイベントを行うことが継続を可能とし、自分たちの仕事にいつか返ってくると馬場さんは考えています。

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社会福祉協議会からの相談

 「さくらや」の開業から3~4年が過ぎた頃には、学校の先生から紹介されて来店した親子や、市役所の福祉部局から「さくらや」のことを教えてもらって来店する人が増えてきました。

 広告を出すほどの金銭的余裕はなく、チラシ配りをする頻度にも限界があり(店舗運営と平行してのポスティングは月に3回くらい)、もっといろんなお母さんたちに「さくらや」を知ってもらいたいのに宣伝が上手くいっていないもどかしさを馬場さんは感じていました。

 学校の先生や行政から紹介されて来店した人だけでなく、紹介してくれた学校関係者や行政関係者と会ったり話したりしていれば、馬場さんが考えるよりも多面的な視点で考えられ、支援を必要とする人々への対応の仕方も変わっていたのではないかと思っていたそうです。

 その頃には、馬場さんが起業をテーマに講演することが増えていました。講演では、「さくらや」には支援を必要とする家族も来店することや、学生服価格の現状についても話したそうです。その話を聞きつけた高松市社会福祉協議会の職員が来店して相談を持ちかけるようになりました。

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 「昔のように相談窓口に来る人が少なくなり、社協としての役割が果たせていない」という話から始まりました。馬場さんはそれまで行政と関わる仕事をしたこともなく、行政的な思考方法も馴染みがありませんでした。ただ、そのときの話の中で、

「社協は生活貧困層に向けて支援している」
「塾に行けない家庭の子どもたちを対象に無料塾を限られた地域ではあるが、元教師や大学生ボランティアの人たちで開催している」
「子ども食堂のお手伝いをしている」

など、社協の仕事の話を聞いた馬場さんは、「「さくらや」に来店する支援が必要であろう人たちと社協を繋ぐことができるのかな?」「社協と一緒に取り組めることがあるかも知れないな」とイメージが湧いてきました。

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続く

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