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学生服リユースショップさくらや研究【学生服×SDGs編その3】

 社会福祉協議会(社協)は、「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」として位置づけられた民間機関です。「さくらや」が社協と連携して行った事業の経験から、様々な主体とのコラボレーションが広がっていきます。

社協との連携プロジェクト

 「さくらや」の馬場加奈子社長は、高松市社会福祉協議会の職員と話す中で、地域に支援が必要かもしれない家庭がなかなか社協の相談窓口に来てくれないという悩みがあることを知りました。そこで、さくらやを通じて制服のバザーを出してみたらどうだろうという話になりました。

 バザーは、社協が用意した会場にさくらやから制服を持ち込んで、その傍らで社協が相談ブースを設けるというやり方にしました。実際にバザーを行ってみると、それまで社協の相談窓口に来たことがなかった家庭も、制服を購入したあとブースに寄って相談する光景が見られました。馬場さんも社協も、相互に連携することで相乗効果があると実感しました。

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「回収ボックス」を通じた多様なコラボレーション

 2017年春には、難病の子どもの治療などを行う国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が実施した「グラデュエーション×ドネーション(グラドネ)」という卒業寄付のキャンペーンに馬場さんが協力しました。高校の卒業生から、まだ使える学校指定の制服やかばん、コートなどをセンターに寄付してもらい、「さくらや」が買い取ってその収益金を新生児医療や小児医療の研究や治療にあてる取組です。

 この取り組みは、2017年5月に朝日新聞の全国版に掲載されたこともあり、全国のお母さんから制服の寄付が集まりました。中には、手紙を添えて制服を送付した人もいて、「成育医療研究センターの子どもたちのために活用してください」といった内容のほか、制服を通じた子どもたちとの思い出や、制服を買ったものの着られなくなった事情など、寄付をした様々な人たちの思いが書き綴られていました。馬場さんは、センターで夜遅くまで仕分けをしながら一通ずつ読んでは目が潤んだことをよく覚えているそうです。

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 また同じ頃、「コープかがわ」と連携して、コープの店舗に設置してもらった回収ボックスに学生服や体操服を寄付してもらう取り組みも始めました。寄付してもらったものを「さくらや」で買い取り、「コープかがわ」が行う地域の助け合い活動「お互いさま高松」に活用してもらうという取り組みです。

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 2018年2月には、内閣府が主催して高松市で開催された「子供の貧困対策マッチング・フォーラム」に馬場さんがパネリストとして登壇しました。「さくらや」の来店客に支援や声掛けが必要と思われる親子が見られることを日常的に経験しているので、現場でどんな状況が起こっているのかをパネリストとして話しました。福祉と経済界を繋いで、子どもの貧困対策について企業の支援を得ることも重要だと訴えました。

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 内閣府が行っている子供の未来応援国民運動」の一環として、子供服や古本の寄付を通じてNPOなどの取り組みを支援するが仕組みがあります。馬場さんは「さくらや」としても協力できるのではないかと、かねてから考えていました。そこで、フォーラムの終了後に、内閣府から参加していた参事官に学生服の寄付を通じた支援について申し出てみました。

 それから1年かけて、内閣府の担当者と馬場さんが話合いを重ねて、

①さくらやが学生服や学用品などの回収ボックスを設置
②回収後、査定額を「子供の未来未来応援基金」に寄付
③支援が必要な家庭に、学生服などを安価に提供

という仕組みを作り上げました。

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 そして2019年2月から、「学生服未来応援ファンドone support」として、企業や団体に学生服や学用品などの回収ボックスを巡回設置し、従業員や顧客の方等に学生服等を寄付してもらい、査定額を基金に寄付する取組みを開始しました。

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 現在では、全国23のパートナー店舗と直営の高松店でこの取組みを行い、多くの企業や団体、学校に学生服回収ボックスの設置の協力を得ています。

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続く


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