見出し画像

日本と東洋のやきもの:1 /京都国立博物館

  書きだすと止まらず、ついつい長くなってしまうテーマがある。
 陶磁器=やきものである。

 けれども、このページでのやきものに関する投稿は、絵画のそれよりも断然少ない。なぜか。
 やきものだけを扱った展示は集客の面で苦戦を強いられがちだからか、全国的にみても、大きな展示は年に数本。各地にある専門の「陶磁美術館」での開催を除けば、けっして多いとはいえない。
 専門館ではマニアックでニッチな企画をしてくれて愛好家の渇望を満たしてくれるが、多くは古くからの窯場やその遺跡に近接した立地で、アクセスに難のあるケースがほとんど。現代の作家ものはあまり観ないし……そんなこんなで、じっさいに足を運ぶものとなると、絶対数がかぎられてくるのだ。
 それでも、やきもののことでいったん筆を起こせば長文となるだけでなく、短時間で仕上げられる傾向があるし、手直しは多くない。わたしにとって、省エネのテーマなのだ。

 今回取り上げるのは、京都国立博物館の常設のやきもの展。1室での開催、38点の小展示だ。
 館蔵・寄託の品であるから、関西を生活圏とする方々にとっては「いつもの顔触れ」かもしれないけども、関東住まいのわたしからすれば、夢のような機会。
 同時期に開催されていた「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺」展へ行こうか行くまいか迷っていたところ、決定打となったのは本展の存在であった。京博のやきもの名品展、そして「あれ」が出るのであれば、遠征の重い腰も上げられようというもの(大して重くもないか……)。

 ※「特別展  河内長野の霊地 観心寺と金剛寺  ─真言密教と南朝の遺産─」の公式ページ。これについても書かねば

 少年時代、母と姉が二人で京都へ行った際、お土産にくれたのがハードカバー・B5判の『京都国立博物館名品図録』。国宝の平安仏画《十二天画像》が表紙の旧版の図録だ。
 わたしはこれを何度も開いて、さまざまなる時代と場所に、そして京都に、思いを馳せたのであった。いま手許にはなく、実家の本棚に差したままだ。
 この図録は国立博物館らしく、絵画、彫刻、考古、漆工……といったように、文化庁による文化財の指定区分をなぞった、いたって真面目な章立てになっていた。
 本展の出品リストをみると、その「陶磁」の章に載っていたものが、かなり出ていることがすぐにわかった。さらに、館蔵ではない寄託の名品も加わっている。
 そしてなにより、「あれ」こと笠川コレクションの李朝の秋草手もご登場。 
 ――「こうなったら、もう、京都に行く選択肢しかないじゃないか」……というのが、このたびの遠征にかかるわたしの判断であった。

 前置きが、また長くなってしまった。次回こそは、わが愛するやきもののご紹介をば。
 (つづく)

 ※本展の公式ページ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?