いらないものをくれるお客さまのこと

年齢を重ねたからなのか、経験を重ねたからなのかわからないんですけど、女将業を10年近くやってきてひとつ変化した価値観があるんですよね。

それが、

「いらないものでも笑顔でもらっておけ」

なんです。


スイーツ、旅のお土産、置き物etc…お客さまはいろいろくれる

お客さま商売をしてると、お客さまからいろんな物をもらう機会があります。例えば近所のスーパーで買ってきたスイーツ、旅行のお土産、畑でとれた野菜などです。

あ、あとうちには毎年必ず年末に来て、干支の置き物をくれる代わりにタダで蕎麦を食べていく人がいます。亡き先代の女将さんとの付き合いがそのまま続いている形で、夫も断るに断れないと言っていました。

私は、こうした頂き物の類ってめっぽう苦手でした。まず、お礼に困ります。幸い飲食店なので、ちょっとした小鉢を出したり、海老天を一本サービスするなどしてやり過ごすことは多いですが、あまり大袈裟なものをもらうと、どうやってお返しをしたらいいかわかりません。

あと、わざわざ手土産を買って来てくれる人に対しては、そこにかけるお金をお店に使って欲しいなぁと思ってしまいます。手土産ってだいたいスイーツかおせんべいのような食べ物である場合が多いんですけど、うち飲食店なので、小腹が空いたら食べるものは売るほどあるんですよ。

あと困るのが、3〜4人で来て「ちょっとうるさくなると思うから!ごめんね〜良かったらこれ食べて!」と何かくれる人。いやいや、お土産はいらないのでうるさくしないでくださいって話です。

これって旅館や病院でお金を包んで渡す、むかーしの風習に由来するんですかね。これ渡しておくからよろしくね、的なやつ。わかりませんが、物をもらって特別あつかいするとかはうちはできないのです。

もらって困る物ナンバーワンはやはり置き物ですね。場所がない、お店の雰囲気に合わない、捨てづらいの3拍子そろってます。

皆さんお客さまなんだから、変な気を使わないで楽しく食事をしてお金を払っていただければそれでいいのに、どうしてこうも "あげたがり" なんだろう。そんなふうに思っていました。


あげたがりさんがほんとに苦手だった

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