ロボットが1台10万円台からすぐに導入できる!?自律型搬送ロボット【AMR】の実態に迫る
AIは必ず人間を越える(スティーヴン・ホーキング 1942 - 2018)
昨日の記事に引き続き、最近大手企業でも導入が進められている自律型搬送ロボットである【AMR】と呼ばれる技術について実例を使いながら紹介して行きます。
倉庫内で活躍する自律型搬送ロボット AMR
AMR【Autonomous Mobile Robot】:ロボット自身が前後左右、路面の凹凸、段差などを検知して、目的とする場所まで自律移動するロボット
搬送物はオリコン(折り畳みコンテナ)など商品を投入する箱物が主で、用途としては作業者の元までオリコンを自律移動で運んできます。
移動方法ですが、AGVでは床に配置したQRコードや磁気テープ、レーザー認識等の技術により自律走行するのに対し、AMRは新しくなった配置の倉庫を一度ロボットで動かすことで空間をマッピングして把握し、自らの最適な移動経路を計算処理ではじき出します。
続いて出荷作業の手順についてですが、まずAMRにオリコンを乗せ上位システム(WMSなど)と連動させる。乗せたオリコンへピッキングする出荷予定商品が保管されている場所へシステムから移動指示が出る。AMRが記憶されているマップを元に最適移動経路を計算し移動。移動先で待機している作業者の元へ到着後、作業者がピッキングを行い、AMR上のオリコンへ投入。終わり次第AMRが発進し、次の出荷商品配置位置へ移動を繰り返します。
AMR導入のメリットとして
●人の移動を自動化でき、作業人員を削減できる
●AGVに比べて安価で導入ができる
●協働ロボットで1台からすぐに導入ができる
が挙げられます。
AMRとAGVとの違い
自律型移動ロボットのAGVと、今回のAMRをよく混同されがちです。AGVについては昨日の記載した記事をご覧いただければと思いますが、AMRとではどういった違いがあるのでしょうか。大きくは3点あります。
●大規模な改修なし【短期間導入・面積制約がなし】
●人と協働できる【すぐに導入できる】
●AGVに比べて安価【安い】
まずは、AGVと違って今回のAMRは人と協働作業の出来るロボットになるため、すぐに導入が可能です。また、協働ロボットの為安全策などでロボットが稼働する面積をしている必要がなく導入をすることが出来ます。
さらには価格ですが、AGVは1台あたり500〜1,000万年の導入コストに対し、AMRは1台あたり250~300万と半分以下で導入が可能です。さらにはリースであれば1台あたり月額10数万から導入することも可能で、実機導入におけるハードルは格段に下がりました。
日本企業も続々と実用化
そんなAMRですが、導入に関する価格帯と導入効果から様々な企業が導入に踏み切っています。
●導入事例 イオン向けの物流倉庫倉庫
関東を拠点として物流事業を手がける京葉流通倉庫はイオングループ向けの物流拠点にAMRを導入。これにより従来の人の作業が約2倍になったとのことで、導入を進めた効果が早速出たようです。
稼働時期:2020年11月末
場所:さいたま市の岩槻営業所
導入社:Rapyuta Robotics
稼働台数:20台
効果:従来の人手に頼った作業と比べ、1時間当たりのピッキング効率が約2倍に向上
●導入事例 楽天市場向け物流拠点
続いてはネットショッピングでお馴染みの「楽天市場」向けの物流拠点での事例です。AMRを導入したのは、大阪に本社を構える物流業者の関通で、同社は2019年2月に楽天と資本・業務提携し、同社の物流業務の一端を担うようになった。ECの需要が拡大し、楽天市場向けなどで出荷量が急速に増加していることから、今回 AMRを導入したとのこと。1日1万個以上ある出荷量の3分の1をロボットが支援し、こちらも早速導入効果が出ているそうです。
稼働時期:2020年8月
場所:兵庫県尼崎市「関西主管センター」・埼玉県和光市内「東京第一物流センター」
導入社:Syrius Robotics
稼働台数:30台
導入効果:1日の商品出荷量が従来と比べ倍増
●導入事例 アパレルファッションEC向け物流拠点
続いてもEC関係の事例です。100を超えるファッション&アパレル企業の電子商取引(EC)を担っているダイアモンドヘッド社がAMR導入に踏み切りました。こちらでは千葉県の柏で実証実験を含めて30台を導入検証を行っています。
稼働時期:2019年11月
場所:柏物流センター
導入社:GROUND社
稼働台数:30台
いずれはピッキングも全自動化される未来がくる
AMRやAGVの導入によって、作業者の「移動」を自動化を実現しました。これにより作業者は1日24キロも歩くことなく、より作業負荷を軽減した状態で作業に取り組むことが出来るようになりました。
現在の搬送ロボットの課題であるコスト高も、技術進歩がより加速し、寡占化せずに競争が激化すれば価格減少傾向になるかと思います。
今後さらに技術が発展し、ピッキング自体にもロボット技術が実用化されてくると、今のピッキング作業を含めた出荷作業が完全自動化される未来が間違いなく来ると思います。
作業はロボットに任せ、直感などの感性、思考を人間が行う。
これがロボット化が進んだ未来の、ロボットと人間の共存であるのではないか、と感じます。