熱中症だけじゃなく日常使いへ?ポカリ×アクエリ スポドリ比較
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
日本も夏になり、暑い日が続いているのではないでしょうか?熱中症警戒アラートの発表がある地域も多く、水分補給・塩分補給は大切ですよね。
熱中症対策といえば、「スポーツドリンク」が一番に思いつく方が多いのではないでしょうか?
今回はKnowns Bizを用いて、「スポーツドリンク」について分析してみたいと思います。
スポーツドリンク・機能性飲料(エナジードリンク含む)の満足度×認知度
まずスポーツドリンク・機能性飲料(エナジードリンク含む)ジャンルの満足度×認知度を調べると、認知度に関しては大塚製薬ポカリスエット、アクエリアス、そして大塚製薬オロナミンCの3商品が90%越えでした。
満足度のみで見るとスポーツドリンクではなくエナジードリンク、機能性飲料が上位に入ってきましたが、スポーツドリンクでは1位大塚製薬ポカリスエット、2位アクエリアスという結果が出ました。
今回はスポーツドリンクの上位にランクインした「ポカリスエット」と「アクエリアス」について比較分析していきます。
ポカリスエットとアクエリアス
スポーツドリンク・機能性飲料(エナジードリンク含む)全体の購入者のデモグラ構成比をみると20代後半~50代前半が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較すると30代~40代が主な購入者となっています。
競合比較分析
ポカリスエット・アクエリアスそれぞれのデモグラフィック分析を見てみます。上記グラフではポカリスエットとアクエリアスの回答割合を比較し、同一の場合は100、多い場合は青字、そして少ない場合は赤字で"特徴度"という値で表しています。
このグラフの特徴度をみると「ポカリスエット」購入者は30代が最も多く、40代前半を除く20代後半〜40代後半も購入者が多いようです。「アクエリアス」は40代前半の購入者が最も多いですが、10代~20代と50代後半〜60代前半まで選ばれています。
7Journeyの競合比較で見てみると、直近1年以内の購買である現在購買層(ロイヤル+離反予備軍)は「アクエリアス」がやや上回っていますが、現在購入していないものの購入意欲がある層(巻き戻し)、未認知やきっかけ待ちなどを見ると僅差の結果となっています。
ではそれぞれの購入者の特徴を見ていきたいと思います。
大塚製薬ポカリスエット
「ポカリスエット」1980年に“飲む点滴”をコンセプトに日本で開発・発売された、発汗により失われた水分、電解質をスムーズに体内に補給するための健康飲料です。
オロナミンCドリンクの開発を担当した研究員の播磨六郎氏が、メキシコ出張で水にあたり、ひどい下痢になって医師の診察を受けた際に抗生物質の処方以外に「水分補給に炭酸飲料を飲みなさい」と指示されたそう。
これは当時のメキシコにはミネラルウォーターがあまり売られていなかったためであり、この経験から播磨氏は「体にすぐ吸収される飲料が商品化できないか?」と、1000種類以上の試作品を経て誕生したのがポカリスエットです。
「ポカリスエット」というネーミングは、コンセプトが伝わりやすいように「スエット(汗)」を用い、語呂が良く爽やかな青空を連想させる響きの「ポカリ」をプラスし、生まれました。
ポカリスエットは糖類・炭水化物・ナトリウムなどが多く含まれ、発汗初期の汗の成分と同じ電解質組成、人間の体液に近い成分の飲料です。
そのため、脱水時に水分・電解質を補給するために適しています。ポカリスエットの甘さは水分の吸収スピードを助ける働きをしており、腸から身体の中へ、すみやかに吸収される糖質となっています。
どんな人が選んでる?
デモグラ分析では30代の購入者が多いと出ていましたが、どのような人が「ポカリスエット」を選んでいるのでしょうか?
全世代のサイコグラフィックは似た結果だったので、今回はそれぞれ主な購入者の年代に絞って見ていきます。
「ポカリスエット」の購入者は、個人価値観・社会価値観を見てみるとコツコツと仕事を頑張り、日々忙しく倹約家な人が多いようです。現状満足な反面対人ストレスも多いのが特徴です。
消費価値観では"お得感重視消費”"コスパ消費”"ステータス消費”が上位にきています。コスパ且つ安定のメーカー商品、というイメージで購入される方が多いのでしょうか。
消費者の声を見ると"子供の頃から体調不良の時に飲む”"疲れた時に優しい甘味が好き”などの声がありましたが、一方で"甘過ぎる”との声も。
また特徴的だったのが"サウナ後に飲む”という声も多かったことです。
特に気になったのが"オロポ”。大塚製薬のオロナミンCとポカリスエットを5:5で割ったドリンクがサウナ愛好家に好まれており、商品として提供している施設も多いそう。
公式サイトではポカリスエットのアレンジレシピはありませんでしたが、オロナミンCドリンクについては、牛乳と混ぜ合わせる『オロナミンミルク』や、卵黄と混ぜ合わせる『オロナミンセーキ』、緑茶と混ぜ合わせる『オロナミン緑茶』などのアレンジレシピが紹介されていました!
サウナ後にポカリを選ばれる方が多いということで、今回大塚製薬ポカリスエット公式サイトで発見したのが「水曜サ活」というキャンペーン。
こちらはポカリスエットの姉妹商品「イオンウォーター」のSNSキャンペーンなのですが、なんと2018年から現在まで行っているキャンペーンなのです!
過去にはポカリスエットはアニメとのコラボをし、夏のコミックマーケットに出店をしていたそう。夏コミはアニメ・漫画好きにとってはかなり体力を消耗するイベントなので、ピッタリなコラボだと思いました!
アクエリアス
「アクエリアス(Aquarius)」は、1983年4月に発売を開始しました。その名前は、英語で星座の水がめ座を意味します。
また、Aquaにはラテン語で、水、液体の意味があり、水分や電解質などをカラダに供給するアイソトニック飲料(人間の体液の濃度や浸透圧(※)とほぼ等しい飲料)のイメージの語感をもっています。
※生物の細胞の活動の中でおこる、2つの濃度が違う水が隣り合わせのときに、濃度を一定に保とうとして水分が移動する圧力のこと
「アクエリアス」は水分補給だけでなく、クエン酸やアミノ酸を含んでいるため、身体を動かす際のサポートとなります。これらの成分で飲み口もスッキリと酸味のあるものになっています。
甘さは控えめでカロリーオフなところも特徴です。またサイズ展開も多く、さまざまなシーンで活用することができます。
どんな人が選んでる?
では「アクエリアス」の主な購入者20代前半と40代前半に注目してサイコグラフィックを見ていきます。
「アクエリアス」の購入者は、インドア派で倹約家、マイペースで趣味に貪欲な人が多いようです。一方で“ガラスメンタル”や“対人ストレス過多”の面もあり、仕事や学校などでストレスな悩みを抱えている面もあるようです。
消費価値観では"リピート消費”"リターン型消費”に次ぎ、ポカリスエット同様"ステータス消費”となっています。気に入って購入している方が多いようですね。
消費者の声を見ると“スッキリした味わい”や“カロリー・オフ、カロリーゼロ”“ラインナップの豊富さ”に関する声が多かったです。また“ポカリスエットよりも量が多く安い”とコスパ面での声もありました。
今回分析している水分補給をメインに考えた「アクエリアス」をはじめ、他にもゼロカロリーやマルチビタミン配合など、シーンに合わせた浸透圧設計の商品ラインナップが豊富です。
また公式サイトでは夏にぴったりなアクエリアスを使用したレシピも紹介しており、“おいしく水分補給”できるそう。
またまた“サ活”の話ですが、アクエリアスにも“アクリ”なるサウナー用ドリンクがあるそう!アクエリアスとリアルゴールドで割ったドリンクだそうです。
整うサウナドリンク、気になりますね。
世界トップシェアは?
「ゲータレード」とは
日本ではスポーツドリンクの二大巨頭といえば「ポカリスエット」と「アクエリアス」ですが、世界70か国以上で愛飲されており、全米で77%の圧倒的なマーケットシェアを誇るスポーツドリンクは「ゲータレード」なのです。みなさんも名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
1965年にフロリダ大学のアメフトチームである「フロリダ・ゲーターズ」のために、フロリダ大学の医学・生理学者であるロバート・ケード博士によって開発された世界初のスポーツドリンクでもある「ゲータレード」。
日本でも1970年から発売され、販売権は二転三転しながらも市場に出ていた「ゲータレード」ですが、2015年に日本での生産が終了しています。
なぜゲータレードは売れなかった?
日本で人気が出なかった理由は“色”、“味”、“慣習”だったと言われています。着色料を使用した原色ネオンのような“色”、脱水時の点滴輸液で使われるリンゲル液のような“味”、そして発売当時の1980年代は運動中に水分を摂らない“慣習”もあり、日本人にはなかなか好まれなかったようです。
その後「ゲータレード」からヒントを得て開発・発売された「ポカリスエット」が日本にスポーツドリンクブームを起こし、「アクエリアス」や多くの商品が後発される競争市場に。それに続き「ゲータレード」も色味、味など改良していきましたが、既に後発品に遅れていたために先行者利益を取れず、後に撤退することになったようです。
「ポカリスエット」もはじめは売れなかった
「ポカリスエット」も発売当初は、“ぼんやりした味”と取引先の反応はすこぶる悪かったそう。
そこで社員がほぼ総出でスポーツ会場や銭湯、サウナなど“汗をかく場所”に出向き、ポカリスエットを“どんな場面で飲むか”を説明し、サンプルとして配布しました。
その後も全国の学校で部活動の支援プロジェクトや熱中症対策を啓発する活動を推進し、これまで日本になかった新しい機能性飲料の定着に力を入れ、現在もスポーツドリンクのトップシェアとして君臨しています。
商品展開でシェアトップを狙う「アクエリアス」
「アクエリアス」もまた、「ポカリスエット」に負けじと様々な商品展開でシェアトップを狙っています。
「アクエリアス」がスポーツ時に飲まれているのは2割程度で残り8割が日常シーンとの市場調査結果を受け、糖質やカロリーが気になってスポーツ飲料を控えている人向けに2012年「アクエリアス ゼロ」を発売し、10週間で5000万本突破。
さらに今年2023年4月には日常の水分補給でお茶や水を飲んでいる人にも向けたカロリー・糖質ゼロの「アクエリアス NEWATER」を発売しました。
Knowns Bizの消費者の声を見てみても、スポーツ時以外に普段から飲んでいる、という意見が多かったので「アクエリアス NEWATER」、人気が出そうですね。
まとめ
大塚製薬ポカリスエットの特徴
・20代後半〜40代後半購入者が多く、30代が特に多い
・日々忙しく倹約家、コスパ重視な傾向
・甘味が強い、まったりした味
・糖類・炭水化物などが多く含まれ、人間の体液に近い成分=風邪や食欲不振などの体調不良時向き
アクエリアスの特徴
・10代~20代、40代後半、50代後半〜60代前半と購入者が幅広い
・インドア、マイペース、倹約家でリピート購入の傾向
・酸味が強い、スッキリした味
・クエン酸やアミノ酸の成分入り=スポーツ時や運動後の疲労向き
余談ですが、サウナーにはどちらも重宝されている?という結果でした。
厚生労働省は熱中症対策としてナトリウムを100mℓあたり40~80mg含んでいる飲料を20~30分ごとにカップ1~2杯程度摂取することを推奨しています。「ポカリスエット」も「アクエリアス」もどちらも有効なので、体調やタイミングに合わせて、スポーツドリンクを飲みましょう!
筆者のひとこと
ベトナムではポカリスエット、アクエリアス、どちらも販売されていますが、アクエリアスは何故か炭酸入りで日本よりも甘い感じで個人的には苦手です…。ポカリスエットは日本と同じ味なので、体調を崩した時や二日酔いの時など本当に助けられています。大塚製薬さまさま…!
欲を言えば体調不良でも食事が食べられない系の時は少し味が濃く感じるのでイオンウォーターも是非販売していただきたいところです(笑)。
私はサウナは苦手なタイプで1分もじっとしていられないのですが、温泉や岩盤浴は好きなので“オロポ”“アクリ”、私もいつか試してみたいと思います!
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