【私的】2019年映画ベスト10【備忘録】

10位  『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』

◎映画として「すごく面白かった!」わけではないが、心に響いた。
◎金融の虚しさと、経済の不可思議さ、人生を生きる速度について描かれた話。
◎知的な話かと思ったら、かなり泥臭いミッションで、さほどリアリティを追求した作品でもない。完全に失敗に終わるため、カタルシスもほぼない。
◎終盤、主人公が雇った土木作業員たちが、開通を祝う映像が出る(失敗したので開通させる意味はない)が、主人公の亡き父親が土木作業員だったことを考え合わせると、もしかしたら「傲慢な投資家から図らずも金を強奪」し、「作業員への雇用を創出」することになったこの計画は、成功していたのかもしれないと、鑑賞後にふと思った。
◎外で雨が降りしきるアーミッシュの小屋の中で、スローモーションでとらえた景色を眺めながら、二人、体を寄せ合うラストシーンは、とても粋だった。
◎早口でまくし立てるジェシー・アイゼンバーグが、いつも通りで好き。

9位 『グリーンブック』

◎良い意味で、いかにも「アカデミー賞作品賞」という感じの「ウェルメイド」な作品。たぶん人々の記憶からは、近いうちに忘れ去られる気がする。
◎「ケンタッキー・フライドチキン」のギャグは忘れないよ。
◎今年はこういった純粋に「良い映画を観た!」と思える作品は、ほとんど観られなかったので、なおさらこの映画は良かったなと感じる。
◎「社会派です!」という構えではなく、練られた脚本に則った良質なコメディになっている。
◎ピーター・ファレリーは、やはり上手な監督なんでしょうね。笑えるコメディが撮れる監督は良い監督ですね。
◎ヴィゴ・モーテンセンは『はじまりへの旅』に続き、良い仕事をされてる。


8位 『家族を想うとき』
 
 以前だらだらと書いたので、

https://note.com/knos46pue/n/n4b57f73ce881

割愛。


7位 『スパイダーマン:スパイダーバース』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファーフロムホーム』

◎マーベル界隈が盛り上がった2019年上半期だった。まとめて。
◎カートゥーン・ワールドに入り込んだような3D映像に没入して、スパイダーマン・マインドに感動した(スパイダーバース)
◎「Avengers…………Assemble!」キャップが活躍して興奮した。2回目観たら、けっこうツッコミどころは感じたけど、大団円だから気にしない(エンドゲーム)。
◎トム・ホランドくんが、とにかく可愛かった(ファーフロムホーム)。
◎MCUでは唯一、『キャプテンマーベル』だけは酷かった。

6位 『存在のない子供たち』

◎ここ数年で観た『裸足の季節』(トルコ)、『花咲くころ』(グルジア)あたりの中近東に住む子どもを描いた映画に、通ずるところも少しあるが、それ以上に悲惨な話。
◎言葉にできない作品。ドキュメンタリーチックに描かれていることもあり、かなりインパクトがある。
◎妹の身を心の底から案じ、知らない赤ん坊の面倒をなんだかんだで責任を持って看続ける、少年の心根が優しすぎる。
◎小さく痩せこけた少年は10歳くらいに見えて、12歳には見えない。なのに、目は子どもの目に見えない。
◎たぶん二度と観ることはないけど、記憶には残り続けると思う。

5位 『ブラック・クランズマン』

◎スパイク・リーの映画にして、すごくエンタメとして楽しめた。
◎ブラック・ジョークが利いていて笑えるし、サスペンス性もある。テンポがよくて、話に奥行きもある。
◎KKKが『國民の創生』を興奮しながら観ているシーンが、めちゃくちゃ笑える。あのおばちゃんとおっちゃんは、良いキャラしている。
◎ラストの報道映像は、個人的には不要だった。

4位 『永遠に僕のもの』

◎「アメリカン・ニューシネマ」感に痺れる。アルゼンチンのニューシネマ魂という感じ。
◎とってもかわいいお顔をした美少年が、悪逆非道の限りを尽くすという、本当にただそれだけの映画。
◎だが、それが良い! こういう映画が観たかった、私は。
◎毎日が退屈で、誰も愛せない男の虚無……という間々ある感じ。オシャレ雰囲気映画であって、たいして深いテーマ性はないと思うけど、それで良い。
◎70年代っぽいザラついた映像、スペイン語のロック音楽(『朝日のあたる家』も)、妙なダンス、アルゼンチンの街並み、新鮮さもあった。

3位 『ノーザン・ソウル』

◎イギリス音楽映画、しかもノーザン・ソウルということで、私の好きなヤツだった。
◎ストーリーは、音楽にハマってイケイケになって、どんどん不良学生になってきて、シャブでヒャッハーってなって、人生のどん底に陥る、というテンプレートのようなライン。
◎Digに血道を上げるオタクっぷりとか、イケてるイケてないの感じとか、微笑ましい。「友情」っていいもんですね~という終わり方。映画とは全然関係ないけど、昔のFlipper's Guitarの二人とかも、こういう感じだったのかなとか思った。
◎『さらば青春の光』の次の世代の若者たち。モッズ以降の流れみたいなのがわかる。

2位 『僕たちは希望という名の列車に乗った』

◎冷戦下の東ドイツを舞台にした映画。反抗期の悪ふざけレベルの行動が、国家が動くほどの弾圧の引き金になってしまう。
◎主人公テオと、その父が良い。変革に燃える若者の青春といった趣とは、まったく奥行きが違う。理想と現実、愛と別れの狭間で揺れる姿に涙を禁じえない。奥行きという意味では、オープニングにちょっとだけ出てくるソ連軍人の存在も同じく。
◎とにかく自由を侵害するものというのは最悪。誰が敵とかではなく、圧力、抑圧の構造は地獄だなと。
◎エリックの涙が悲痛すぎる。クルトはやや消化不良か。
◎「自由を求めて反旗を翻す」という話が、やはり私は好きなのだなと改めて思った。『いまを生きる』へのオマージュも。

1位 『女王陛下のお気に入り』


◎ヨルゴス・ランティモスが凄すぎる。『ロブスター』といい、これは天才だ。
◎宮廷モノにおける昼ドラみたいな話を、笑えるように、かつハチャメチャに作り上げた作品。主演格3人が、それぞれ逞しすぎる。
◎「モンティ・パイソン」を思い出すような、ブラック・ジョーク、シュール・ギャグ。
◎『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンより、こっちの強かなエマ・ストーンのほうがずっと魅力的。
◎どう撮ってるのか不思議なくらい、カットが決まっていた。

〈次点〉
『アマンダと僕』『マリッジ・ストーリー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

〈その他 良かった映画〉
『魂のゆくえ』『ドント・ウォーリー』『ホテル・ムンバイ』『ガリーボーイ』『Girl/ガール』『見えない目撃者』


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