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#ショートショート
猥褻れる(さわれる)
少ない電灯で照らされる夜道。そこに仕事帰りの女性がいた。彼女はふんふん、と鼻を鳴らして歩いていた。その後ろに、怪しい黒ずくめの人がいた。その人は女性にゆっくりと近づき、真後ろに立った時に女性の腰にスタンガンを押しつける。女性はスタンガンの衝撃で倒れ、気を失う。その人は女性の服を脱がし始め、そっと女性の肌を触っていったーー。
「で、事件現場はどこだ?」
楠谷が歩きながら言う。
「あそこで
狙撃たれる(うたれる)
歓声が広がる野球場。天気は晴天。大久保地方議員は地方で行われる始球式に参加していた。彼は投球台に立ち、ボールを構える。すると、何かが彼の頭部を直撃し、恰も無く彼の頭が無くなっていく。その異変に気づいた観客たちは、それまであげていた歓声が悲鳴へと変わっていったー。
「被害者は大久保雅良で、年齢は六十四歳。この地方の議員らしく、事件当時は始球式のために参加していたことでした」
「そうか」
アルファベット殺人事件(後編)
二人は再びあの家へ訪れていた。家に入ると、楠谷は大股でリビングへと向かって証拠を探し始める。その動作は落ち着きが無く、必死に探している様子が鴻ノ池の目に映った。
「ねぇぞ!証拠が」
楠谷が頭を掻く。
「落ち着いてください」
「落ち着けるわけがないだろ!」
楠谷が鴻ノ池の襟を掴む。
二人は互いに睨み合う。楠谷の目は怒りで目に満ちているように思えた。鉛のように重くなった雰囲気
アルファベット殺人事件 前編
楠谷と鴻ノ池は、とある一軒家を訪れていた。その一軒家は洋風な家であり、どこにでもありそうな家だった。
二人は何か焦げ臭いを鼻に感じつつ、玄関へと入り、家の中を物色する。
「えーっと、この家の家主は不動産を経営しているらしいです」
鴻ノ池が手帳を読み上げながら、楠谷の後を追う。
「そうか、それで?」
「今のところ、彼は重要参考人なので言いようがありませんが、今までの事件の被害者で関係して
ジェットコースター殺人事件
とある日の昼下がり。楠谷と鴻ノ池は某遊園地の敷地内にある、ジェットコースターの施設にいた。乗り物には複数の鑑識が居ており、二番目の座席には大量の血痕が残されていた。そして、楠谷が乗り物の横に目線を向けると、ブルーシートで覆われた首のない被害者が倒れていた。
二人が調べていた事件とは、ジェットコースターが稼働しているときに事件が発生した。被害者は今野政重。妻の香織と乗っていたら、被害者が突然