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秋。太宰府。

10月がもうすぐ終わろうとしている。僕は太宰府にいる。この時期になると太宰府は気温以上に冷え込む。あぁ…また服装ミスった…そう思い、参道の路地を歩く。

雨上がりだった。地面からなんとも言えない匂いがしている。角を曲がった途端、ほのかな香りが鼻を突き抜けた。キンモクセイである。水溜まりの水面に、落ちた花びらが煌びやかに映えている。

それにしてもこの時期の太宰府は底冷えがする。末端が冷える。寒がりの僕はパンツのポケットに手を突っ込んで歩く。途中、男女が手を繋いで、寒いねと言いながら天満宮へ向かっていた。末端が冷えてるのに、心だけが暖かくなっていく。


僕も親不孝でコンカフェとかアイドルのヲタクを本格的に始めてもう2年くらいになる。だが、何処かで一人の時間を過ごすことを大切にしている。別に一人になりたいからとかじゃなく、ただ無になる時間が必要なのだ。糸島でも太宰府でも。

アイドルともキャストともヲタクの方とも、いろんな出会いがあれば、いろんな別れ方があるものですな。ただ、一人一人に貢献できてたかと言われると難しいものがある。先生と呼ばれていた時代からその葛藤はあるが、ヲタクになっても変わらない。

ただ、先生である身からずっと大切にしてきた事がある。それはやはり、辛い時、しんどい時に、そばにいてあげられる「存在」でいられるかどうかである。

楽しい事はいつだって共有できるけど、辛い事はその時にしか分からない。だからといって、巷で言う「どしたん、話聞こか?」なんて言わなくていい。難しいけど、ただ、存在としているだけでいい。辛い事なんて、言いたくなった時に吐き出せばいいのだから。

昨今、家庭環境のあり方などもあって、思春期の子達のメンタリティは変化している。塾講師として教員として、それに適応してきたつもりだ。だけど、今のキャストやアイドルの子達にしか分からない悩みや葛藤はある。それを理解しようとする姿勢をどう見せるかが、一番重要な気がしている。

表向きは楽しい会話ばかりしてるけど、いろんな立場を踏まえて、マッツーはそういう事をもっと気にかける人間になれたらなぁと常々思っている。


そんな事を徒然なるままに考えながら、僕は久しぶりに梅ヶ枝餅をいただいた。



お椀から漂う抹茶のほのかな匂りが、僕の心を包んでくれていた。



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