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今、言葉が弱い?動画や絵に注目が行くが、人は言葉でしか考えらない言葉の力!

言葉を介さずに、空気を読むことがいいとされる。

チャット式のメッセージが増え、一つ一つの言葉は短くなった。

ディスプレイに表示された百数十字の短い言葉に、誰がどれだけ背景を読みとれるように入力しているだろうか。

絵や動画に注目が行き、人は言葉から遠ざかっているように思う。

言葉の力が弱くなっていると感じる今。

実は、言葉には、もっと気持ちを伝えたり、引き出したり、人を意識変革させるほどの力があった。


つないでいく言葉の大切さ

佐野弘の口癖に、

「それいい話」
「ちょうどいい」

がある。話の間で、よく言っている。

佐野弘は、インタビューや編集の仕事をしている。仕事上、つなぐ言葉を使うのが仕事みたいなものなのだ。

話をつなぎ、さらに情報を引き出したり、盛りあげたりする。

つなぐ言葉を使っている身からすると、夫婦関係や、上司と部下関係でも、言葉が少なすぎると感じている。

これは、日本だけなのだろうか。語らないで伝わることが良き、という謎の文化がある。

言葉を失った瞬間が一番幸せ

宇多田ヒカルさんの「Automatic」の歌詞だ。

そう思っていいのは、宇多田ヒカルさんだけだ。

「言葉を失った瞬間が一番幸せ」であるには、その背景に言葉を尽くしてきたから、言葉を使わなくていい状態になる。

つないでつないでいったら、つながなくていい状態になる。

インタビューも上手くいっている時は、言葉がいらなくなる。

つまり、話をつないでいくには、つなぐ言葉が大事である。


テキスト文化でも、つなぐ言葉が大事

特に、チャット式のメッセージやりとりが増えている昨今。

そのテキスト文化でも、つなぐ言葉があるか、ないかで、その印象が変わってくる。

段落と段落をつなぐ言葉があるだけで、全体の文章がとても読みやすくなる。

対面でいう相槌やおうむ返しのようなやりとりをしないと、無味乾燥の文章になる。

流れにもよるが、何かお願いして、

「承知しました」

と、だけ返ってくる。

これだけでは、どんな印象で受け取ってくれているのかわからない。怒っているのだろうか、と。

一つ、そこをつなぐ言葉を追加するだけで、自分の気持ちや相手への受け取り方も変わってくるのである。


つなぐ言葉は、人の意識改革にも使える

「私は、ネガティブだから」

と、自分のことを断定してしまう人がいる。これは言葉だけでなく、自分自身を閉じてしまっている。

これに対して、

「今は、ネガティブなんですね?」

と返す。「今」とつく時点で、「これから」の未来はそうとは限らない意味が含まれる。

言い方一つで、その人の意識や感じ方が変わっていく。

また、逆に、最初に自分で口をついた言葉に固定される。

「今は、ネガティブです」

「ネガティブな時もあります」

「時々、ネガティブになります」

と自ら言えば、ネガティブじゃない時もあることを示す。

あるワークで、自分の意思に関係なく、言われたことに対して必ず肯定的に答える、また必ず否定的に答えるものがある。

人は、どちらの指示が出されても、意外と肯定的にも否定的にも答えることができてしまう。

そうであれば、人の意識、自分への意識改革をするなら、肯定的につながる言葉を使う方が、気持ちも変化する。

「私は、ネガティブだから」と吸着している意識をはがすにも、つなぐ言葉一つで変化する。

自分の使う言葉、人に何かを伝える言葉は、人にも自分にも影響を与えているのである。


なりつつある意識・プロセスが、自分に嘘をつかずにそうさせる

自分がなりたいように振る舞うと、そうなる意識の持ち方がある。

もし、お金持ちになりたいなら、お金持ちになったように振る舞っていれば、自然とお金持ちになる、という意識の持ち方だ。

仕事ができる人になりたいなら、仕事ができる振る舞いをする。

しかし、実際にそれをしても、心の内では、やっぱり違うなと、結果的に腑に落ちない。

〇〇しつつある

という表現にしてみると、どうだろうか。

「お金持ちになりつつある」
「仕事ができるようになりつつある」

〇〇しつつある、というのはプロセス。そのプロセスを重ねていくことで、次第とそうなってしまう。

自分の成長を感じつつ、昇っていく。

現在進行形であれば、他人にも自分にも嘘をつかずに、そこへ向かっていけるのだ。

日本の元々の文化は、「〇〇道」の印象がある。華道、茶道、武道……。

〇〇道は、ingの意味合いが強く含まれていると、佐野弘は考えている。

道の終わりはなく、到達することはない。ひたすら研鑽し続けていくのが日本の〇〇道。

日本人は、真面目な方が多いので、嘘をつかない成長の仕方が大事である。

誠実でかつポジティブな表現が増えていくと、単純に生きやすくなると思っている。


絶望発言は、そこまでではない認識を獲得させる

ちょっと嫌なことがあったとする。

「あ、もう、これは絶望だ。人類が絶滅する。宇宙が終わった」と発言する。

自分を一瞬で落としてみるのである。

しかし、冷静に考えると、その嫌なことは、絶望するまでのことではないと思えてくる。

結果的に、少しポジティブな自分になっている。

テストの結果が悪いと、「はい、退学」

試合で負けると、「はい、サッカー部解散」

1回ネガティブになってみると、いやそこまでではないと、考える。そうならないようにするは、次に何ができると、ポジティブになる。

このポイントは、主語をデカくすること。

大袈裟に絶望すると、いやいや、そこまでのことではないと思えるポジティブに持っていく方法がある。


言葉が文化を作る

言葉を作って、その言葉から空気を作って、そして仲間を作る。

自然(じねん)と言った時に、自然の意味、そのものがわかるか。

共感と言った時に、単なる共感の意味ととらえるか、もしくはeumo(ユーモ)だと認識するか。

もし、その言葉で通じれば、もう仲間である。仲間内でしか通じない隠れシグナルが言葉には潜んでいる。

その界隈だけで流通する言葉があると、もうそれは文化になる。

その文化を広げる時や、コミュニティ、会社、組織においても、その言葉、共通言語は大事になってくる。

ある人事の方と話をしていると、制度が定着しない、運用されないといった話をよく聞く。

それは、その制度に名前がついていない。結果、愛着を持たない。

その点、サイバーエージェントは、制度に1個1個名前をつけている。

社内事業コンテストと掲げても、誰も事業を作ろうとしない。

それを、事業を作るで「事業(じぎょ)つく」と言っていたりする。

固有名詞にすることで、人は愛着を持つ。


まとめ:今、注目されていない領域・言葉に改めて注目しよう!

言葉の分量が減っている。しかし、言葉が最後まで残る。

その最大の理由は、人は言葉でしか考えられないからだ。

絵で、考えることはできない。

脳の構造上、言葉で考えることがなくならない限り、言葉の重要性はなくならない。

動画や絵、短いテキストでのやりとりが増えている今だからこそ、自分の使う言葉を大事する時だと思っている。

次の佐野弘(仮)もお楽しみに!


佐野弘 with 水島一輝


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