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最近読んだ本 ~UI/UX編~

UI/UXデザイナーになるべく、やはり読書は欠かせないと思い、UI/UXについて巷でよく読まれている本をかき集めて読んでいる。

所感なので、さらっと見て頂けたら幸いである。詳細を知りたい場合は、リンク先の目次を読むなどして頂きたい。

ちなみに、私の能力として

  • デザイナー歴10年ぐらい

  • Adobeのソフト大体触れる

  • Webコーディング(HTML、CSS)

  • プログラミング知識はそんなにない(php、js、C#、python)

  • GUI作成経験あり(固有のプロダクトにおいて)

  • 商品開発経験あり

  • 3DCG分かる(Maya、Blender、ライノセラス)

  • 基本的なデザイン知識あり(経験、書籍を通して)

  • 美大とかの勉強は一切していない(独学)

  • UIデザインの専門的な知識はない

  • 総合的に、広く浅い感じで仕事をしている

という前提で読んでいるので、似たような境遇の方がいたら参考になるかも知れません。

はじめてのUIデザイン

UIデザインの基礎知識はこれでだいたいカバーできる。
はじめてUIデザインを学ぶ、これから実際にデザインするという方は読んでおくと論理的に構築できる。
電子書籍なので、主に1~2分のスキマ時間でさっと読める。

webコーディングができる方は少し持て余す内容かも知れないが、改めて体系的にUIを勉強する際には、倍速で理解できるだろう。

UXデザインの教科書

UX(User Experience:顧客体験)について教科書的に書かれている。
UXの概要、プロセス、手法等に関する技術的な内容であり、具体的な顧客体験を深堀りするというような内容ではない。しかし、とにかくボリュームがすごい。

実際に業務を行う際に、プロセスを参考にしたりフレームワークを導入する際に役立つ一冊だろう。
何回も繰り返し読むことになるかも知れない。ザ、教科書。

おそらく、UXというものは状況に応じて求められる度合いや規模が異なるから、具体的にどうアプローチすれば良いのかという書籍はないのかも知れない(具体例が多すぎる故に)。

さよなら、インタフェース

少々奇を衒った本である。
この本で最も述べられていることは「最高のインターフェースはノーインターフェースである」ということ。
インターフェイスなんて書かれているから、てっきりUIデザイナーに関する本かと思ったが、この本を読み終えて、UI/UXデザイナーという職種について色々と考えさせられた。

今あるサービスが本当に必要なのか?
それは真に問題を解決するプロダクトなのか?
世間では良しとされている考え方や、こうあるべきだという謎の常識や思い込みに対して警鐘を鳴らす。デザインが世間に与える影響は、我々の生活を良くするものだけではなく、むしろ混乱を招くようなことが多いのではないかと著者は語る。

私はこの手の本が好きだ。マーク・トウェインの「人間とは何か」や、岡本太郎の「今日の芸術」など、現代の形骸化した思考や仕来りに対して批判する精神は、物事を発展させるパワーがある。ジャンルは違えど、常識や当たり前という思い込みを打破してくれる。この本もそれに近しい。

おそらく数年後には、この職業も名前を変えるか若しくは無くなっている可能性がある。近い将来、イーロン・マスクのNewralinkみたいな新技術が実現するときには、パソコンとかスマートフォンとかの画面を介さずに情報のやり取りができるし、その類の仕事は残らないかも知れない。

UIデザイン みんなで考え、カイゼンする。

デザイン初心者の方や、UIデザイナーと一緒に仕事する人のためのやさしめの本である。
デザイン業務に関する体系的なアプローチが書かれている。
デザインはデザイナーだけのものではないことを理解してもらうために、この本を介して色んな人と話ができる。可読性もよく、とても軽快に読める。

デザインとかクリエイティブって言葉が独り歩きして、あたかも特別な職能であると思われがちだが、どんな仕事も「価値を創造する」という点では共通である。
手段や表現が異なるだけであって、全てのものが共通のゴールであると理解し合えれば世の中はもっと幸せになれるんじゃないかなと思う。
私には少し物足りなかった。

コンセプトのつくりかた

コンセプトについて実例を用いて説明されている。
元任天堂の玉樹真一郎さんという方が著者で、内容がとあるハードウェアのゲーム開発関連だが、コンセプトを考える際の技法や思考方法をわかりやすく紹介しており、ボリュームもあって読みごたえのある本である。

商品やサービス、事業のコンセプトを考えるというのは「命」を設計することであり、重厚に、かつ慎重に検討を重ねているんだなと感動する。特に、大きな会社で大きな予算を抱えているだなんて時は…コンセプトにブレが生じたら後々面倒くさそうである。
行動こそ全てだ!という人も、コンセプトを打ち立てないとアイデアや制作に関する思考が霧散してしまうから、原点を生み出すという点で非常に心強いツールである。

少し勘違いしてしまうのは、コンセプトの立案というのは作り手側の想いを言語化・ビジュアル化することであり、直接的なユーザー体験をデザインすることではない。

「ついやってしまう」体験のつくりかた

こちらも玉樹真一郎さんの著書である。
サービスデザイン、顧客体験に関する内容であり、ゲーム開発を通じてそれらが説明されている。著者の示す体験デザインというのは、我々の記憶に刻まれるような過程を作り出すことだと示している。

体験というのは割と言語化しにくい事象であり、順を追って説明しないと理解に及ばないので、体験を説明するのが苦手だ、という方はこの本を読んで自分の体験を大いに語れるようになれれば、納得されるストーリーテリングができるだろう。

脳科学、認知科学、心理学的なアプローチで説明されており、
 ・人の気持ちがわかる
 ・人間観察が得意で
 ・人の話や相談を聞くのが好き
 ・仮説に基づいて何かを検証するのが好き
という方、人の期待を良い意味で裏切れるような方は、体験デザインを設計するのに向いているはず。

インターフェースデザインの心理学

心理学的アプローチの本である。
インターフェースを見たとき、人々はどう感じるのか、どう触れるのか、どこに注目するのか、といったことを心理学的に説明している。

人間の根本的な心理、行動、思考パターンを理解しておくと、これらに基づいてUI/UXを設計できるので、今の気分や流行などに流されない普遍的なデザインができると思われる。
内容も100のセクションに分類されているので、好きな項目からどんな風に読んでもいい。この本を読みたいと思う人は、まず目次をどこかで参照したほうがいい。

逆に、技術的な内容は殆どないのである程度UIデザインができる中級者向けと言える。

オブジェクト指向UIデザイン

「オブジェクト指向」という単語に拒否反応が出るが、この本を読むと「なんだ、そういうことか」と安心できる本。

オブジェクト指向は、情報設計において非常に重要な考え方である。
UI設計において主に2つの指向があり、
 ・オブジェクト指向(オブジェクト=もの、こと)
 ・タスク指向(タスク=探す、話す等の動詞)
に分けられる。

詳しい内容は書籍にて確認してほしいのだが、タスク指向は特定の行動しか示さない(具体性が強い)のに対し、オブジェクト指向は抽象度が高く、UIの構造を簡素化したりユーザーに与えるアクション(タスク)を複数与えられることから、構造がスッキリするようになり、ユーザーに混乱を与えないという一石二鳥以上の効果がある考え方だ。
巻中にワークが複数あり、実際にオブジェクト指向でUIデザインしましょうというコーナーがあるので、知識も技術もカバーできる有用な本だ。
初心者には向かないが、この指向でUIデザインできれば「デザインのこと、よく分かってるじゃん」と思われるのでニンマリ顔になれる。

腕のいいエンジニアがいれば、オブジェクト指向は最高の武器になる…

融けるデザイン

デザイン全般に対する、デザイン史を語る本。
なぜこの製品が生まれたのか?なぜ今のデザインに落ち着いたのか?
デザインの原点と変遷を知ることはあらゆるデザイナーにとって重要な知識である。アートの文脈にも近いものがある。
やや論文的で、一般的な技術書、参考書とは一線を画しているので、一つの考え方が書かれている本として読まれるとよい。

基本的に、デザインされたプロダクトは人間の道具であり、広義でのインターフェースはヒトとプロダクトをつなぐ介在物であることを理解しなければならない。
人間工学に基づくもの、アフォーダンスシグニファイア等の心理学に基づくもの、人間の生活に深く根付き溶け込んだデザインというのは透明性を帯びており、それが徐々に我々の生活に「融け込んできている」ということである。
最終的にはソフトウェア、情報技術(IT、IoT)に関するデザイン論が展開されているが、それらも「道具」であること、「もの」から「こと」のデザインにシフトしていること、技術革新のバイアスが強いこと、デザイナーって時代に振り回される職業であることを知覚する。

最近、AI技術が恐ろしいスピードで発達しているが、デザイナーに限らずあらゆる立場の人が「恐怖」を感じている。いわば新しい勢力、「インターネットから来た宇宙人」みたいなものである。
これらも人間の「道具」となりうるような処置を施さないと、いつの日かマトリックスアイ・ロボットのような時代がやってくるだろう。。。

UI GRAPHICS

この本は、見た目のデザインを考えるという点では古いが、アーカイブとして残しておくべき内容ではある。
iPhoneの登場(UIという概念が頻繁に用いられた時代)から、現在のUIにまつわるTIPSが注ぎ込まれており、ネットに散在した情報をひとつなぎにしてくれる。
UIグラフィックスの全体を把握したい場合は読んでもいい。

群衆心理

心理学を用いて、群衆の心理を解き明かそうとする本。
19世紀末に発刊されており、いわゆる古典的な書物に位置付けされているが、その内容は真実に迫っており読後感はやや複雑である。
群衆の心理を知ることは、群衆を操作することにつながり、それらがもしデザイン領域で利用されるならば、その効果は恐ろしいものになる。

私は、UXという視点でこの本が使えるかなと思って読んだのだが…そんな生易しいものではなく、時代的リーダーや権威ある人、世を統べる人の本であると理解した。しかし、これを知っているか知らないかで、UXの何かが変わるかも知れない。

過去の偉人を例に挙げており、群衆を味方につけること、群衆を敵に回すこと、自分の地位を維持するために必要なこと、そういったものが心理学的に説明されている。
群衆、つまり一般市民が、実はみんな「英雄になりたい」などと考えたことはありますか?その殆どが保守的であると認められますか?安全を保証してもらいたいと、藁にもすがっているのをご存知ですか?
群衆が膨れ上がるほど自分自身のダイナミズムは失われ、孤独であるほど独裁的な志向が強く振り回されにくい。
自分自身がどちらの側につくか?どちら側でいたいか?という、二極化した考え方を読者に与える(意図しているかどうかは分からない)ので、注意が必要である。
非常に堅く理解しにくいので、あんまりオススメしない。ボリュームはそんなに多くはない。

また読んだ本があったら紹介します。


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