ベートーヴェン交響曲全曲演奏会 所感

大晦日のベートーヴェン交響曲全曲演奏会という狂ったような企画に参加してきた。

以下、所感である。

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指揮者は小林研一郎。もう80歳だが、お年を感じない圧巻の演奏ぶり。全9曲、一切手抜きナシ。最後の挨拶で、感極まって涙を落とされていた。強く感動した。こんな80歳になりたい。

コンマスがやけに存在感がある。普段はN響のコンマスを務める実力者。年配に見えたが、最初から最後まで全力で演奏しており脱帽(奏者は多少入れ替わりがあった模様)。

ティンパニ奏者が魅せる。特に第5番最終楽章における最後の盛り上がりのシーンにおいて、指揮者の棒に合わせて頭上からバチを振り下ろすところに圧倒された。

コントラバスも必死に弾いていた。フォルテッシモにおいては、弓がどこかにあたるのか、バリバリッという音が聞こえてきた。収録されると消されてしまう音なので、ライブ感が伝わってきた。

第3番第1楽章が気合十分。指揮者が「もっと強く!」「もっと遠くまで聴こえるように!」という意図を指揮棒で伝えていた。

・どの演奏も良かったが、第5番が白眉。特に第4楽章は、上記ティンパニの活躍もあって最高に感動した。

第9番も良かった。ソリスト・合唱団も全員マスク。出てきたときからマスクで、歌う時は外すのだろう、と思っていたが、マスクのまま歌いだした。つらかったと思う。しかし、声はちゃんと響いていた。さすがプロ。

・これほどの長丁場なので、途中ダレるかと思ったが、まったくそんなことはなかった。全曲、新鮮な気持ちで聴くことができた。

・観客の入りは8割くらいか。たまたま私の席の前は空席が多く、見やすく快適だった。しかし残念ながら途中から埋まってしまった。一方、隣は途中で退席したのでラッキーだった。

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家でクラシック音楽を聴いているときは、途中でやめたり、本を読んだりスマホを見たりしてしまう。

しかしコンサートでは、そういうことはできないので、最初から最後まで聴き続けるしかない。普段なら聴き飛ばす箇所もしっかり聴く。第九は第4楽章から聴くことが多いのだが、もちろん第1楽章からちゃんと聴く。やはりこのほうが最後の感動が大きい。

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クラシック音楽コンサートに行くということは、「自分と向き合う」ということ。未来のことや過去のことを考える。瞑想や座禅に似ている。サウナとも似ている。

ベートーヴェンの名曲を素晴らしい演奏で聴きながら、自分と向き合う。これ以上ない贅沢な時間だった(もっとも、自分と向き合うのにそんな長時間は不要なので、一般的なコンサートの2時間くらいで十分である)。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。