木野清瀬

俳号木野清瀬(きのきよせ)。街俳句会。里俳句会。定型俳句と自由律俳句を作ります。お酒と…

木野清瀬

俳号木野清瀬(きのきよせ)。街俳句会。里俳句会。定型俳句と自由律俳句を作ります。お酒と吟行と古いものが好きです。ノスタルジイを探して街を歩いています。

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火のやうな

 一冊のノートが遺された。  母がわたしの俳句をびっしりと書き写していた小さなノート。わたしには、それが母の詫び状のように思われた。  社交的で華やかな母にとって、不器用、無愛想、引っ込み思案のわたしはさぞかし物足りない娘だったことだろう。幼い頃から、母の「残念」には気がついていた。  アッコの娘にしてはパッとしないな、と面と向かって毒づく親戚がいた。まだ小学生の頃だ。驚いて固まってしまった。もちろん悲しかったが、この子はそうなのよ、そういう子なの、と変に開き直った母が今と

    • ちいさな句会 Taupe-grillon 2022年3月26日

      第二回句会 於ホテルメトロポリタン ラウンジすずかけ  日当たりの良い場所では桜の花が満開に近づいていますが、お天気はあまり良くありません。予報では曇りのち雨。傘を持参のトープグリヨン第二回目の句会は池袋、ロビーを見下ろす中二階、シティホテルのラウンジにて。  いろいろ書き込めるように、今回より大きめの短冊を用意しました。  わたしの句より、  ※雛あられ奥歯で砕く出自かな  所属する結社の句会に投句したものを詠み直しました。元句は、  ※不躾に出自訊かれて雛祭

      • 奥多摩探梅行、河鹿園へ 2023年2月12日

         なんと⁉️一年ぶりの投稿となります。  前回の千葉紀行も梅の頃、確か2月の終わりだったと思います。おゝ‼️本日は2023年2月28日、二月尽。夜の10時をまわったところ。今月のうちに間に合いますかしら。時計の針と追いかけっこしながら筆を進めてまいります。  青梅駅より奥多摩線に乗り御嶽駅で下車。まだ山肌に一昨日の雪がうっすら残っておりました。東京都心では警報級の大雪にはならず、次第に雨へと変わりましたが、此処奥多摩ではかなりの積雪だったのでしょう。  ちょうどお昼時。

        • 梅ふふむ、春信と荷風と千葉の旅 2022年2月26日

           真夜中のタイムラインに、千葉市美術館さまのツイートを見つけました。  世界に二点しか現存しない鈴木春信《夜の梅》がご覧頂ける稀な機会です、前回は十五年前、次はいつになることか‥。  スマホの画像にも、それは何とも妖しき趣き。肉眼で実物を見るしかない‼️千葉には子どもの頃に行った記憶があるだけですが、これは行くしかないでしょう。  近々行かねばと思っていたのです、千葉には。  敬愛する小説家、永井荷風の人生の終焉の地が市川でした。江戸川の川辺に、遠く空を見る荷風の写真が遺っ

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        火のやうな

          ちいさな句会 Taupe-grillon 2022年2月18日

           有季定型俳句の結社に入り、半年が過ぎました。月に一回か二回、句会に参加しています。通常の句会は短冊に書いて五句出し、清記、選句、披講、一般選の発表、主宰の入選句、本選句、特選句の発表、講評という流れです。  一句に一票でも入れば、句会の後のお酒が美味しくいただけます。入選、本選ともなれば、しあわせに酔いしれてしまいます。  オケラの時は‥、飲み会に参加するのが辛いです。とてもとても酔えません。胸の内は大嵐、沈みゆく難破船です。あゝ、涙涙。  たかが俳句で?と笑われるでしょ

          ちいさな句会 Taupe-grillon 2022年2月18日

          そして隅田川 2020年3月12日

           さてさて、向島初吟行の続きです。  向島でのランチはパスタ、お若いご夫婦の切盛りする小さなイタリアンでした。街グルメも散策の大きな愉しみです。 ◇春近しこんなところにイタリアン  歩くこと、見ること、食べること。感じること、呑むこと、そして、知ること。  本を読んだり、テレビを観たり。それは大事な入口ですが、それだけで知ったつもりは勿体無い。知る為には、ちょっとした手間暇が必要なようです。  胃袋の活用はかなり効果的です。美味しい記憶はしあわせな思い出として、結構長く

          そして隅田川 2020年3月12日

          墨東 2020年3月12日

          多分、これが人生最初の吟行でした。 玉の井、東向島。高校生の頃から大好きな永井荷風の『濹東綺譚』の舞台を歩きました。 荷風は東京の探求者でした。 わたしは東京市政百周年の生まれなので、父方の祖父より「京子」と名付けられました。然し、父親に反発的だった我が父は、平凡でつまらないと、「響子」と出生届を出しました。そのせいばかりではなく、父方の祖父母はどこか遠い存在でした。 ともあれ、わたしは東京の子です。 父の仕事の関係で、十才から高校卒業までを九州、福岡で過ごしました。荷風に出

          墨東 2020年3月12日

          文学フリマ東京、2021年11月23日

          子どもの頃からモノレールが大好きです。 今月初めに熊本・福岡を旅したので、同じ月にまた東京モノレールに乗れるなんてうれしいなあ。しかし車窓に大井競馬場が過ぎてゆくと、俄かに緊張してきました。流通センターに於いて初めての文学フリマ東京です。 自由律俳句サザンカネット句会アンソロジーに参加しての初陣です。 サザンカ句会は、二年ほど前から自由律俳句結社「海紅」の方々を中心に、月に一度のペースで開かれている句会です。コロナ禍においてはTwitterでのネット句会の機会が増えました。ネ

          文学フリマ東京、2021年11月23日

          Enchanté

          Twitterで俳句をはじめてそろそろ二年になります。右も左も分からずに、知らぬが故の面の皮、初心者のくせに三つの句会に出没し、遂には結社に入会してしまいました。詠めない詠めないと、日々苦しんでおります。所属するのは定型の結社ですが、自由律も詠みます。吟行が好き、荷風が好きです。色街をよく歩きます。歩きながら詠み、思うことのいろいろを書いてみたいと思います。眠れぬ夜にお付き合いいただければ幸いです。今夜も月が綺麗です。あてもなくぼちぼち、川沿いを歩いて行きますか。 語彙語彙