ちいさな句会 Taupe-grillon 2022年2月18日
有季定型俳句の結社に入り、半年が過ぎました。月に一回か二回、句会に参加しています。通常の句会は短冊に書いて五句出し、清記、選句、披講、一般選の発表、主宰の入選句、本選句、特選句の発表、講評という流れです。
一句に一票でも入れば、句会の後のお酒が美味しくいただけます。入選、本選ともなれば、しあわせに酔いしれてしまいます。
オケラの時は‥、飲み会に参加するのが辛いです。とてもとても酔えません。胸の内は大嵐、沈みゆく難破船です。あゝ、涙涙。
たかが俳句で?と笑われるでしょうか。
俳句は、一か八かの賭け勝負です。斬るか、斬られるか。伝わるか、伝わらないか。思い切りと踏み込みが大事です。俳句侍笑。表現とはすべて、そう云うものなのかも知れません。
さて句会の妙は、選句にあると思います。毎回、素晴らしい名句にも、迷句にも出会います。
それぞれ持ち寄った句、百何十騎余り。やああッと一斉に戦場ヶ原を駆け廻ります。
暴れまわりたい、勝ち抜けたい、生き残りたい。せめて、誰かの記憶に残りたい。
鋭く打ち込んで来る猛者句に、おぬしもなかなかやるな、と言わせてみたい。然し悲しいかな、戦いの輪の外で、勝手に躓いて寝てしまっているオケラ句ではお話にもなりません。
思い入れや、妙な自信のある句ほど、箸にも棒にも掛からない確率が高いような気がします。もうもう、何にもできない。ただただ悲しい。
オケラ同士で反省会と銘打ち、静かなBARでお通夜のように飲んでいて、可哀想な拙句たちをお弔いしたいような気持ちになりました。
諦めて、前に進むため?
まだ使える武器があるのなら、それだけ持ち出してこの負け戦から逃げ出そう、そんな開き直りです。宮本武蔵だって、若い頃はそうして生き延びていたのを『バガボンド』で読みました。
ダメダメ句のどこが駄目だったのか、全部駄目なら捨ててしまえばいいことです。でも、このまま捨てられないのなら、一度目先を変えてみるのも有りなのでは?どこが駄目かを知るだけでも。
ちいさな句会で、そんなことができたら。
オケラによる、オケラのための句会です。
Taupe-grillon。トープグリヨン、と読みます。フランス語で「オケラ」という意味だそうです。
取るも取り敢えず、第一回をはじめてみることにしました。
2022年2月18日(金)晴れ、参加者二名
記念すべき初回の場所は、新宿のホテル、25階の眺めの良いラウンジです。
取り敢えず、取り扱いに悩んでいる三句ぐらいを持ち寄って添削してみる、それぐらいしか決めずに、見切り発車となりました。
短冊に書かれた句の感想を述べ、いやいや実はこうなんですと自句自解、そうなんだ、それは読み取れなかった、こんな風に読んじゃった、どうしよう、どうしよう、例えばこんなのどうだろう、と、句会というよりお悩み相談室のようでした。
花魁の写真を見たら少女でありんす
「写真」なのだから「見る」のは当たり前、ここは省略できます。無季だけれど、定型になりそうです。
五七五で詠むと、何気ないことも何かあるのだと匂わせる、定型の底力があるように思います。定型の結社の片隅に身を置く者としては、先ずはなるべく五七五のかたちにしたい、これを破るには其れ相当の理由がなくては、と考えます。
そして、こうなりました。
花魁が少女でありんす古写真/清瀬
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こんな感じで三句ずつ俎板に乗せて、でぃすかっしょんぽいことをやってみたのでした。
オケラ句に、翅が生える日は来るのでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。月に一度のペースで続けてみようと思います。
そのうちカタチになるでしょう。
句会報はもう少し迅速に‼️次回の課題です。
大事なことを忘れていました‼️
句会の最後は乾杯で〆ます。これは今後もお約束。深く話をする句会なので、アフターはとても大切です。
第一回トープグリヨン終了。美味しい白ワインでした。
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