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そして隅田川 2020年3月12日

 さてさて、向島初吟行の続きです。
 向島でのランチはパスタ、お若いご夫婦の切盛りする小さなイタリアンでした。街グルメも散策の大きな愉しみです。

ブロッコリーと小海老のペペロンチーノ

◇春近しこんなところにイタリアン

 歩くこと、見ること、食べること。感じること、呑むこと、そして、知ること。
 本を読んだり、テレビを観たり。それは大事な入口ですが、それだけで知ったつもりは勿体無い。知る為には、ちょっとした手間暇が必要なようです。

 胃袋の活用はかなり効果的です。美味しい記憶はしあわせな思い出として、結構長く残ります。わたしが食いしん坊なせいかも知れませんが。

味のある壁が多いのです

◇引戸開け百年前の春へ往く

◇何芽吹く路地の誰かの植木鉢

 細い路地、屋根の向こうからスカイツリーが覗いています。ただの電波塔と言うには余りにシンボリックな、こんな大きなものを日常に見上げる暮らし。まだしっかり昭和の香りが残り、大正、明治、江戸まで遡る歴史が、其処此処で昼寝をしているようです。どこか懐かしく、気取らない生活感。発泡スチロールの箱を鉢がわりに、茄子やプチトマトの家庭菜園。物干し台に揺れる洗濯物。
 笑いながら、悩みながら。人々の暮らしが見え隠れ。雨だれがトタンを鳴らし、走り行く人、誰かが窓を閉める音がします。
 折り畳み傘を開き、大通りへと歩きます。
 東京タワーは東京のキャンドルライトだけれど、スカイツリーは?余りに大きくて、信仰心のないわたしでも、ちょっと神さまに申し訳なく思ったりもするのです、正直なところ。

枝にはたくさんの蕾、羨ましい窓でした

◇桜より白木蓮だと言ふをとこ

 雨脚が強くなってきました。雨宿りを兼ねて休憩いたしませう。

 かの有名な言問団子でございます。
 江戸末期創業の由緒ある甘味処、数多くの著名人に愛されてきました。素朴で、やさしい甘さです。
「雨があがるまで、ゆっくりしてらして」
 お茶が美味しい、温かい。
 大江先生とお雪さんも、向かい合ってお団子を食べたでしょうか。

 店を出て、横断歩道を渡り、階段を上ります。
 川縁へ。

 隅田川、あゝ隅田川、隅田川。

 隅田川に、恋した瞬間でした。この時から今も、わたしは堪らなく隅田川を歩きたくなり、電車を乗り継ぎ、やって来てしまうのです。

桜橋から見る言問橋

◇川に落ち恋に溺るる春が来る

◇桜橋少女戦隊撮影隊

◇春霞終の住処に隅田川

 隅田川のことは、折々に書いていきたいと思います。たぷんたぷんと云う川音、薄らと潮の香り。胸の内に騒めきがある時、かなり癒され、救われています。

 お読みいただき、ありがとうございました。
 またお目にかかれますように。ごきげんよう。

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