あんず║契約社員の考えごと

満員電車に揺られる27歳・契約社員。 座右の銘は「むりをしないで なまけない わたし…

あんず║契約社員の考えごと

満員電車に揺られる27歳・契約社員。 座右の銘は「むりをしないで なまけない わたしは 弱い人間だから」(相田みつを) 2024.05〜note再開

最近の記事

「料理の待ち時間」って、幸せだ。3つのエピソード

救世主、おもち お米を炊くのを忘れていた。 たまには忘れることもあるさ〜。 うんうん、あるある。 こんなときは、サトウの切り餅がご飯の代わりだ。 家にトースターがないから、グリルで焼く。 これまで何回も焦がしているから、 今回こそは、焦げませんように… おもちが焼かれるまで、 作り置きのおかずを温めたり、明日のお弁当の準備をしたり。 ときどきグリルの中をのぞきながら、おもちを待つ。 あ、きた。 焦げる寸前の、いい焼き目。 もとの大きさの倍以上にふくらんだおもちは、も

    • 言葉のすれ違い。彼の言葉を取りこぼして。

      「もっと彼から連絡がほしいな」 はじめは、ありふれた小さな悩みを気軽に送っただけだった。 メッセージは少しずつ長く重くなっていって、いつのまにか、彼の言っていることが分からなくなってしまった。 楽しい時間は、あれだけ感情を共有できたのに。言葉がなくても、通じ合えていたのに。 言葉でしか繋がれないLINE上で、私はいま言葉を失っている。 通じ合える言葉が見つからなくて、 彼に向ける言葉を失ってしまって、 ちょっと一呼吸おこうと思って、 noteに書いてみる。言葉にしてみる

      • この一編の小説が、愛おしい

        大切にしている小説がある。 『スコーレNo.4』(宮下奈都著・光文社刊)だ。 これまで何度も読み返して、読み返すたびに思う。 「私のことが書かれている」と。 初めて読んだのは、 著者の宮下さんが『羊と鋼の森』で本屋大賞を受賞したころだ。 大学の先輩(しかも同じ学科卒)である宮下さんが本屋大賞を受賞したと知って、純粋に嬉しかった。 「この学科の進路の先に、本屋大賞が起こりうるんだ」 という驚きもあった。 実際に書店で手に取ったときのことは、あまり覚えていない。 覚えて

        • 似合ってくれて、ありがとう。

          眼鏡屋の店員さんが、素敵だった。 惚れ惚れするほど、眼鏡がよく似合っていた。 眼鏡好きとしては、 眼鏡そのものを眺めるのも幸せだけど、眼鏡が似合う人を眺めるのも、同じくらい幸せ。 あまりに店員さんそれぞれの眼鏡コーディネートが素敵だったので、簡単に書き残しておく。 👓50代前半くらい・渋めの男性店員 水色ストライプのシャツに品のいい蝶ネクタイ。 きれいに整えられた髭と、それを引き立てる小さな丸の眼鏡が、個性的な蝶ネクタイを上手にまとめていた。 👓30代半ば・親しげな笑

        「料理の待ち時間」って、幸せだ。3つのエピソード

          ピザーラのために今日も

          ピザーラのバイクが、私を追い抜いていった。 ・・・ なんだろう。この敗北感は。 坂道をのぼる自分の足が、ピザーラのバイクに追い越されて、さらに重たくなった気がする。 出来立てのあつあつ絶品ピザに、せいぜい電話をかけたくらいの労力でありつける人が近くにいる。 私はこんなに苦労して坂をのぼった挙げ句、これから夕飯の支度をするというのに。 なにに対する対抗心なのかわからないけど、そう思わずにはいられない。 どうしてくれるのだ、ピザーラ。 どうしてくれるのだ、ピザーラを注文

          ピザーラのために今日も

          音楽を連れていく

          仕事帰りの、まだ少しだけ余裕のあるピーク前の電車内。 目の前に座る黒人から、ラテン系の音楽が漏れ聞こえてくる。 こんなとき、自分は移動中に音楽を聞かないなあ、と思う。 家事の途中やストレッチ中には音楽をきくのに、移動中に聞かないのは、どうしてだろう。 私には「音楽を連れていく」感覚が、ないのかもしれない。 子どもの頃、車の中に乗っていても、ずっと夜空の月が追いかけてくることが、不思議で仕方がなかった。 走っても走っても、窓からは月が追いかけてきて、 「ああ、月を連れ

          資格をとる。それが鎧になる。

          最近、資格の勉強を始めました。 簿記3級と、ITパスポート。 数多ある資格の中では、そんなに難しい資格ではありません。たぶん「履歴書には書けるけど、書いたからってそこまでプラスにならない」程度のレベルだと思います。 それでも資格を取ろうと決心したのは、自分の「防御」のためです。 白状すると、私は資格が嫌いでした。 「就職に有利だから」 「給料が上がるから」 そういう俗世的なことにアレルギー反応を起こすのが、これまでの私でした。(お恥ずかしい。) 資格を取るための勉

          資格をとる。それが鎧になる。

          短歌 心配ごと

          昼下がり信号待ちが暑苦しい 頭は冷静ならなおのこと 横になり自分の意固地を確かめる 洗濯物はいまだベランダ ミュートから駆け上がるまで数カンマ 踊れわたしの止まった呼吸

          短歌 透けている

          そうなんだ さすがすごいね よくわかる 彼のチャットに暗幕たらして 細い木がそれでも凛々しく見えるまで シースルーには袖を通さない 丁重に扱われてるガラス瓶みたくなりたくて でもなれないで

          短歌 社会のシステム

          世の中の歯車をきしませる音 舶来ものは自分と気づく 屋根のした生まれつづける言葉たち メイドイン家族が母語の意味 ふるさとに納税したいと申込み 思いは天下の回り物

          短歌 社会のシステム

          短歌 ないと困るもの

          町中華テーブル楊枝の味気なさ 店主の手前消えてなくなる 換気口向こうの世界の裏返し 表にいるのはだあれかな 絡まったならいっそ次チャンスある 糸通しの女神が言ってる

          短歌 ないと困るもの

          短歌 耳で感じる

          朝起きて空気のゆがみに虫となる おとに温度を感じた五月雨 収穫の田んぼをのぞむ旧国道 セスナ機さえも遠くきこえる 最速のBluetoothイヤホン その先をいく醤油味の割れせんべい

          短歌 ふと気づく

          レースごし青空に浮かぶ虫の影 昨日洗った網戸がきれい 数ミリの線にたゆたう心の波紋 万年筆の深い海色 寝転んで思い出したように呼吸する 年中無休の足裏人類

          恋のはじまり

          マッチングなにかが重なり君に出会う いいねに代わった糸を手繰りよせ 押した分すなおにでてくるシャンプーごとく 同じ香りの返事がほしい 乙女こそ映画にさそう彼にいま 正正の旗 堂堂の陣

          平日休み

          息をつめ凸凹なぞる背表紙の その一冊をみつけた喜び 腰かけたスツールを二度見してしまう 自分のお尻のお顔が知りたい 連日の関連動画ながされぬ 今は昔と時間がさりぬ

          キッチンの朝

          ひとりきり容器のままで食べたとき とびきり甘いプレーンヨーグルト 生ゴミと呼ばれる前の曲線美 茎だけ残ったシャインマスカット 袖を通し鞄をまさぐり鍵を持つ 沸いたケトルをふり切れわたし